空っぽの知識
 かたよりまくった読書くんの日記
シークレットゲーム 感想

 シークレットゲーム、かんそーう。

 ぱちぱちぱちぱち〜。





 全部終わらせて一か月近くたちます。

 いい加減感想やらないとな、と思ってやります。別にいやいややるわけじゃないですよ? ただ、感想書くタイミングがことごとくずれて面倒になっちゃっただけだから(それはそれで……)
 ちなみに、一度この記事のデータが飛んだ時には、もう書くのやめようかとすら思いました。



 同人版を友人に借りてプレイしてから、ずっと欲しかったもの。自分のお金でパソゲー買うのはこれで四度目ですか。六千円の元を取るぞ、と思ってプレイしたのですが、とりあえずなんとか元はとれたみたいです。

 いやぁ、はじめはいったいどうしようかと思いましたよ。EP1がちょっと個人的に残念だったので、「うわ、買い急いだか!?」と思ったのですが、EP3とEP4がいい感じだったので良かったです。



 とりあえず、はじめに個人的なシナリオの順位。


 EP4 >= キラークイーン > EP3-B >= EP3-A > And There Were None > EP2 > EP1



 んー、EP3-Aもかなり良かったんだけど、やっぱ同人版の方が全体的に面白かったなぁと。変更点はさほど気にならなかったのですが、単純に主人公とヒロインの二人にこだわりすぎているところが見えて。
 その点EP4は凄かったんですけど、でもどっちかというと欄外だよなぁ。そりゃあ一番盛り上がるのは当り前だし。




 それじゃあ、それぞれのルートの感想を。



○EP1 姫萩咲実編
 「ふ、ふふ、ふふふふふふっ、あははははははははっ!」

 ハイライトシーンは麗佳の哄笑。異論は認めません。

 ……いやね、正直、ガッカリしちゃったルートでした。
 自分としては、咲実ルートは同人版がすごくよかったので、どうしてもこのルートが茶番のように見えちゃうんですよね。総一と咲実以外のキャラクターの奮闘は面白かったのですが、肝心の二人があまりのも流されすぎで、正直萎えました。
 咲実の魅力って、総一の尻を叩いて叱咤する強さだと思うんですよね。はじめの怖がり方は、その前準備としてかなりいい感じだな、と思ったのですが、いつまでたっても覚醒しない。キラークイーンの時のような覚醒咲実を期待していたので、ちょっと拍子抜けでした。

 あと、このルートの何が自分的にダメだったのかと考えたら、まず総一と咲実が徹頭徹尾、人頼りなところなんだと思いました。
 結局この二人、翻弄されるだけで何もしていませんしね、銃を撃てないことを最後まで引きずったのはまあいいとしても、せめて自分たちから行動するところを見せてほしかった。おかげで総一の言葉はどうにも口だけって感じがするし、咲実の覚悟はすぐに揺らぎそうに見えちゃうし。

 っていうか、そういう要素はとりあえず置いておいていいんです。
 渚が犠牲になったところはかなり良かったんですよね。いろいろ言いたいことはあるけれども、あの決着は一つの決着としていい感じだと思ったのです。

 でも、 そのあとに濡れ場を入れる精神が理解できんのですよ。

 あー、もう、こればっかりは我慢できなかった。今までストーリー重視のエロゲにエロはいらん、エロはいらんってさんざん言っていましたが、ここまで間の悪い濡れ場は初めてでした。しかもとってつけたように! まあ、実際PS2版にはなかったわけですから、取って付けてるわけですが。
 そんなわけで、このルートは自分的にダメでした。(何で咲実と総一の人気が低いのかがよくわかったよ……)


○EP2 矢幡麗華編
 「助けて貰った命の借りは返したわよ」

 メインヒロインは郷田さんですねわかります。(え? 違う?)


 まあ、ネタではありますが、半分マジで思ったりしました。実際彼女が唯一生き残るルートでもありますし。
 なんでか憎み切れないんですよね、郷田さん。ってか、いいキャラしてません? 実際。

 内容の方。
 こっちはEP1ほど文句はなかったです。いろいろ内容も凝ってたので面白かったですし。手錠でつながれた状態で、どうなるかがわからなかったのがやっぱり良かったんだと思う。
 こっちの総一はちゃんと動くんだよなぁ。その上で、失敗した後悔のことを語ってるからちゃんと言葉に重みがあると思います。ただ、安々と幼馴染から麗華に流れた感情の変化は、ちょっと唐突にも思えましたが。
 この章のいちばんのキモである、序盤の麗佳の疑心暗鬼は凄かった。総一のことを、いつ裏切られるか戦々恐々としながらみているところの描写は、このゲームの中でも一番気合入っているように思う。ほんと、こういうのが見たかったんですよ。裏切るか裏切られるかわからず、疑心暗鬼に駆られている姿が。総一は絶対にそういうことしないってわかっているだけに、その空回りっぷりがひやひやさせる。
 その代り、デレた後はなんかとんでもないかんじでしたが(苦笑)

 あと、この章でよかったのは、葉月さん。やべぇよ、この父ちゃんかっこよすぎる。「『スマートガン攻撃システム』って、知ってるかい?」ってセリフにはまじでしびれた。一対一で手塚に向かって言って、相討ちとはいえ倒せたところはすごかったです。
 ただ、代わりに高山さんの扱いが……。え、なに? いつの間にか爆風に巻き込まれて死んじゃった!? なにやってんだよーッ!


 ちなみに、補足しておくと、この章でもエロシーンの入り方は最悪でした。(テメェら、かりんが可哀そうとは思わないのかよ……)



○EP3-A 綺堂渚編
 「おい、そこの連中! 分かっているんだ、聞こえているんだろ!?」

 一番総一がかっこいいと思った章です。
 そうだよ、こういうのが見たかったんだよ。三章目にしてやっと見ることができた……。

 キラークイーンの時にやられた、ゲームの見物客への干渉。それがここにきてやっと出てきて、最後はテンションあがりまくりでした。
 そのあとの手塚との一騎打ちも燃えましたしね。この章の手塚は、なんとしても生き残ろうと必死だったのが伝わってきたから、余計にラストバトルは壮絶だったと思う。頭突きの欧州から、階段を転げ落ちるところまでは本当にすごかった。ただ、あっけなく死んじゃったけど……orz

 あっけなく死んだといえば、高山もあっけなかった……。もう、宿命だなこいつは。公式サイトでも、『でも死にます』の一文が加えられてるくらいだし。

 個人的には、文香さんが早々にゲームをクリアしたことに歓喜したのですが、エンディングで完全にスルーでがっかりしました。まあ、その理由はあとあと明かされるのですが。

 正直、個別ルートとしたら文句なしの面白さでした。欲を言えば、あっさり死んじゃった人たちをもう少しましな死なせ方してほしかったですが、仕方ないです。
 あと、エロシーンも一番まともでしたね。


○EP3-B 北条かりん編
 「好きなら……未練を残してしまうような相手なら、貴方は自分で何とかしなきゃいけなかったのよ」

 sideAの方でさんざん絶賛した後でなんですが、ぶっちゃけ言うと一番好きなのはこのルートです。
 上の麗佳のセリフと、あとエンディングのかりんのセリフで泣きかけました。

 PC版で追加されたルートにして、主人公が唯一死ぬルート。
 総一がもう死ぬしかないって状態になったときのかりんとの会話がちょっと助長でなえかけましたが、総一がスマートガン攻撃システムで殺されたところの音があまりにあっけなくてリアリティを感じてしまい、ジンとしてしまった。


 まあ、それだけだったら、死別エンドで感動もの、って感じですが、僕がこの章を押したい理由はエンディングにあります。
 エンディングで、かりんがかれんにどこか変わったと言われて、総一のことを思い出して泣きそうになったとき。総一の「泣くな」という言葉を思い出して、ふと彼女が心の中で漏らした一言。


 厳しいな、総一は……。
 ほんと、厳しいよ。



 キラークイーンをやった人だったら、このセリフの重大さは理解してくれると思います。
 もう、これ見ただけでも、このゲーム買ってよかったと思えたくらいです。うわ、ここでこれを持ってくるか、って感じですよね。
 惜しむらくは、EP1もEP2にも、このセリフを総一が言っていないってこと。それどころか、シークレットゲーム全体でこのセリフが……。キラークイーンをやったとき、一番印象に残ったのがこれだっただけに、ちょっと残念でした。

 そんなわけで、他の要素なんてほったらかしで、ただ総一とかれんの二人に幸せになってほしかったと真剣に思うルートでした。
 ……っていうか、EP2の時点で完全にかれんのキャラが好きになってしまっていたのに、個別ルートでこのしうちとは……。幸せ度でいえば、sideAが完全でしたね。

 ちなみに、エロシーンはぶっちゃけ微妙なタイミングでした。



○EP4 色条優希&姫萩朔実編
 「認めてください御剣総一ッ!! 貴方は正しい事なんかしてやしない! あなたは私たちを自殺の道具にしようとしている!!」

 姫萩咲実、覚醒!

 そうだよ! これが見たかったんだよ!

 キラークイーンの魅力は、総一のカッコよさと咲実の厳しさだと思うんですよね。幼馴染の後を継いで、総一を叱咤激励する咲実がいいと思っていただけに、EP1は残念だと言いましたが、この章では文句なしでした。
 もう、覚醒して総一を責め立てるところのテンションは最高です。やっと来るべき所が着た! って感じでしたね。

 総一の自殺志願は、その理由が明白なだけにあんまり馬鹿にはできませんが、それを理由に他の人間をないがしろにしているところは責められないといけない。今までの章でできなかったそれを、最後の最後でやってくれたことに大満足です。
 しかし、これをEP1でやったらあとの楽しみがなくなるとわかっているとはいえ、EP1の展開を考えたらこれ欲しかったよなぁ。咲実覚醒。だいたい、これがあったから咲実好きなのに。

 あと、このルートは大半の人間が生き残るルートとしても満足でした。まあ、最後だからってのもありますが、葉月さんがちゃんと生き残ってくれてよかったぁ。
 高山は、総一たちとコンタクトとらなかったら生き残るのね……。総一が死亡フラグってのがなかなかに笑えます。
 文香さんは、まさかまさかの超設定が飛び出ましたが、まあそうでもしないと話しは収束しないですし、いいとしましょう。しかし、なんか余裕がある人だとは思っていたけど、できれば一般人でいてほしかった……。
 今回の手塚は最高でした。EP3-Aの手塚も悪くはないですが、やっぱりこいつ味方にいたらすげぇ頼もしいぜ。いや、厳密には味方ではなかったですが。でも、EP3で一時的に仲間だった時のあの安心感を思ったら、やっぱり敵だと嫌だなぁ。
 最後の最後で手塚と高山が助けに来たところは、最高に良かったです。


 と、そうだ。ここまで優希のこと触れてないや。
 あー。あれです。まさかあのロリビッチが普通の女の子になってるなんて思いもしませんでした。
 いやあ、これは同人版やったほとんどの人が思ったと思いますが、いつ優希が本性表すか、戦々恐々でしたよ。漆山が死んだ時は、「とうとうやりおったわー!」と思ったものですが、しかしなんか様子がおかしい。あれ、まさか、こいつ普通の女の子に……って感じでした。
 まあ、優希無双も楽しかったですが、こういう風に無邪気な女の子も悪かぁないです。




○The DANKAI
 「人気一位なんて、自分でなればいいんですよ、自分で」

 序盤の手塚のテンションでもうすでに大爆笑でした。
 そして、咲実怖いよ咲実!がくがくブルブル。

 なぜに一番初めに咲実と手塚の対話があったのかはわかりませんが、手塚の声優さんが異様にすごいってのだけはわかりました。ってか、面白すぎるぜこれ。
 咲実は、EP1でもEP4並みの精神力持ってればよかったんじゃないかな、と思ったりします。個人的には渚なんかよりもずっと好きなんですけどね。

 まず、男性プラス年増サイド。
 わかりやすい荒れ方をしている真弓さん(4X歳)のわかりやすい荒れ方に笑い、文香さんの海外旅行に笑いました。文香さん、エースの戦闘員とかいうポジションじゃなかったらルートあっただろうにな!
 あと、郷田の言葉はなんだかいちいち可愛くないか……?(料理のくだりはらしすぎて笑った)


 次に、女性(っていうかヒロイン)サイド
 しょっぱなでかりんルートができたこと祝ってるけど、祝っていいのかあれ……。
 渚の、自分をかなり良く見せるキャラ説明には笑いました。(確かに、麗佳は味方になってから一気に出番が減ったと思う。あと、零距離ガンナーはよかったww)
 互いのセリフを言いあうところで、やっと幼馴染と咲実が同じ声の人なんだって気付きました。うわぁ、演技うめぇ。幼馴染の演技を咲実がやるシーンの使い分けがうまかった。つーか咲実可愛いな!
(ちなみに、麗佳の声はかっこいい)
 次のかりんが渚を演技するところも、個人的にはかなり良かったです。っていうか、かりんの声はなんか完全にツボなんですって!
 渚が優希をやるところは、確かにありだと思いましたが、麗佳が優希を演じるのは……。いや、お兄ちゃんって言わせたかっただけだろ!(でも、麗佳の声の人の地声は完全にアニメ声ですが)
 最後の、優希が郷田をやるところは……。さすがはロリビッチ。「殺るぜー、超殺るぜー」に笑わせてもらいました。


 全員集合版
 各キャラの妄想交じりの続編が面白かった。幼馴染と総一の生活は見てみたいなぁ、とは思いました。しかし、ヒロインたちの妄想は、渚の人気一位につぶされるという……。
 高山×総一のところは、高山のコメントが欲しい。なんで黙ってるんだよ、お前。
 手塚と高山のハードボイルドは確かに見てみたいなぁ。この二人が協力し合っているところは見ていて面白かったし。
 長沢は……。お前にも一応そういう欲望あったんだな。
 漆山の言葉には、ヒロイン全員から罵声を浴びせられてて笑いました。しかし、咲実の零距離射撃はネタとして公式なのか……。
 最後を締めた葉月さんは、やっぱ大人だなぁ。



 つーかあれだ。ぶっちゃけおまけが一番面白かった。



 そんなわけで、やっと書き終わったぜ……。 


 一度この記事のデータが飛んだ時はもう書くのやめようと思いましたが、なんとか書き終わりました。ふぅ、疲れたぜ。
 というわけで、文句も多かったですがなかなか面白かったです。

『車輪の国、悠久の少年少女』 感想



 というわけで、『車輪の国、悠久の少年少女』の感想をやりまーす。


 とりあえず、クリアした順に感想を。クリアの順番は、灯花と将臣シナリオは絶対に後回しにすると決めていて、あとは適当です。




○さちシナリオ
 「もう、どこにも行かせないっ……まなはあたしの妹なんだから!」

 本編では蛇足に当たるであろう話ですが、ファンディスクなのでそこは言いっこなしで。

 本編の時のように、画家見習いという感じでなく、ちゃんとプロ意識を持って仕事をしているさちがかっこよかったです。
 ちゃんと自分の挫折の理由とも立ち向かえましたしね。ちょっと狙いすぎの感はありましたが、悪くない話でした。

 しかし、まあさちにエロシーンがあるのはまだ仕方がないとしても、たとえ夢オチとは言えまなにエロシーンがあったのはちょっと……。



○夏咲シナリオ
 「私、幸せだよっ!」

 思わず、「このバカップルどもが!」と言いたくなるようなシナリオでした。

 もはや本編でのあのしみったれた夏咲が懐かしくなるほどテンションが高い。まあ、幸せそうなのはいいんですけどね。のほほんと宝探しは、まさにファンディスクにふさわしい内容だ。
 しかし、このシナリオで一番大切なのは、夏咲の天然が計算されたものであるという事実! 蚊の話の時は、「またこの娘は天然さんなことを……」と思ったものですが、そのあとの『蠅たたき』の時の「あ、やば」には爆笑しました。



○璃々子シナリオ
 「いざッ、世界征服の旅へ、しゅっぱ〜つっ!」

 ……ヒロイン編の中で、中盤一番読むのがつらかった話。

 いや、最初はお姉ちゃんの暴走が単純に楽しかったんですが、話が進めば進むほどうざくなっていった……。洞窟探検のところとかは、ほんとおもしろかったんだけどなぁ。

 でも、賢一がもう子供じゃないとわかってさびしがっているお姉ちゃんの姿、という意味ではかなり良かったなぁと思います。まあ、ちょっと中盤長すぎですけど……。



○灯花シナリオ
 「誰かに食べてもらいたいっていう……そういう気持ちが、足りないんじゃ……?」

 まあ、とってもべたな話ではありましたが、最後の料理人になった灯花がすごくよかったです。

 堂々と立って人に料理を教えている灯花の姿は、本当に成長したんだなぁと思えます。彼女の場合は特に、自分で考えて、自信を持って行動をする、ってことが出来ない境遇だったので、そこから解き放たれてしっかりとやれるようになれた成長が、一番すごい。
 料理大会の話は、ちょっとしたドタバタ劇でおもしろかったですしね。

 しかし、……なんで京子さんのエロシーンが。

 ホント、僕としては磯野と京子さんのその後も見てみたいものですけどね。完全に脈がないわけじゃない、となったのがなんか嬉しかったです。



○将臣シナリオ

 序章 姫

 「黙れ……下郎!!!」


 みぃなの覚醒シーンのテンションの高さはやばかったです。

 もはやこれが本編なんじゃない、と思えるほど素晴らしいシナリオ。車輪の国の序章の名にふさわしい物語! とにかくすごかったです。

 もう、話が長くてすごくて、どっからどう話していいのやら全然わかりゃしないんですが。


 将臣のキャラは、主人公としては珍しいタイプですが、芯の強いところはやっぱりかっこよかった。彼があんな風になると思うとちょっと何があったの、って感じですが、最後を見て納得です。
 本編での法月先生は、見るからに正義を語った悪って感じですが、やってることは間違ってなかったんですよね。彼自身の信念がそうさせたんだろう、と信じていましたが、この話でそれがしっかり分かってよかったです。

 しかし、「固定概念だよ」とか牢獄ネタとか、本編との対比がおもしろいなぁ。特に牢獄での生活は、本編は半分ハーレムみたいで仲間内での殺伐とした空気はあまりありませんでしたが、こっちは本当に殺伐としている感じが出ていてよかった。将臣自身が疑心暗鬼を覚えて、そしてそれが覆った瞬間の後悔がなんともいえないよさを出していると思います。
 そして、将臣にとって越えるべき存在であるアリィを超えた瞬間は、鳥肌がすごかった。そりゃあ、このまままんまとアリィの策略にはまるとは思わなかったですけど、冷静な将臣らしい超え方だったのでよけいに見ててかっこよかったです。
 でも、確かにこういう勝ち方した将臣からすれば、賢一の策は見破られないよな、と思います。その辺も、うまくできているなぁ。

 そんな風にちゃんと敵を打ち倒すまでしたのに、それでも最後がバッドエンド風なのは、やっぱり過去編だから。越えるべき壁を越えても、越えられない壁がまだ存在する。社会という大きな壁の前に、将臣は下るしかなかった。その諦める理由も、愛する女性のためという理由だったのがよかったなぁと思います。さすがに、社会のシステムを変える、という生き方は、やっぱり大きな存在の中にいる以上、変えざる負えなかったようですけど。
 それも、賢一が最後に乗り越えてくれたので、将臣もある意味で救われたんじゃないかと思います。


 そういえば、賢一ですが、あれって拾い子だったんですね。
 三人の子供、というのがなんか良かったです。これが将臣がわざわざ賢一に目をかけていた理由か、と思うと、なんか感慨がすごい。
 自分がなしえなかったことを、賢一にかけていたことを思うと、本編のバッドエンドでの切れようとかはしかたないなぁと思ったり。


 他のキャラクターについてももう少し語りたいところですが、あくまで将臣に視点を当てたまま終わりましょう。(三郎とか、マジで「あ、こういう人なんだ」と思う人でしたけどね)


 将臣シナリオのラスト、強制収容所への潜入は、BGMの『watch out!』と合わさってすごいテンションあがりました。
 潜入する前の賢一との電話は、もう健が三人の子供だってことが分かっていることを考えると、感慨がすごいです。そして、そのときの「母に、会わせてやろう。必ず、な」には、ぐっと来るものがあります。

 あと、アリィとの対面における、最後の言葉。

 「そこをどけ、豚共。私はこれから、最愛の人に会いに行かねばならんのだ」

 セリフの文字がなかっただけに、伝わってくるものの大きさが半端なかったです。
 ああ、もう。この感動を言い表す語彙がないのが悔しいくらい、あれはやばかった。アリィに銃を突きつけて、凄みのある言葉で語られる阿久津将臣の願い。そこで話が終わってしまうのもまた……。ああ、このあと本当にどうなったんだろうか!?
 無事みぃなと再会できたら、どんな反応をするのかすごく楽しみだったんですけど、仕方ないですよね……。

 まだ気持は言い足りないですけど、本当に、すごいシナリオでした。



○南雲えりシナリオ
 「おいあんた、誰だか知らねえが、なぁ……
  ……ちょっとくらい、休んだらどうだ?」


 番外編、というか、本編で一瞬で殺されたヒロインみたいな人が、どうして遅れたのかが語られる物語。

 んー、まあ、骨休めとしては丁度いい話ではあったと思います。とりあえず、この人が何らかの野心をバリバリに持ったまま死んだわけじゃない、とわかっただけでもまだ救いはあるかなぁ、という感じ。
 でも、野島さんの最後のセリフにはぐっときたなぁ。



○大番外編 OMAKE
 「あらやだ、目が本気」

 なんていうか、ひとつ前の南雲えりの短編の感動を返せと言いたくなるような非常にディープでドープな内容の物語でした。

 ……っつぅか、がっつきすぎだぜえりさん。いくらエロなしで一瞬で死んだから、ヒロインになりたいからって……。

 まあ、それでも全編わたって爆笑させていただいたわけですが。
 特に一番初めのコラージュ画像は面白すぎです。洞窟探検のCGなんて、宙に浮いちゃってるし。あれ、ぶっちゃけさちの画像の首だけ入れ替えただけだよね……。

 南雲えりのキャラクターのぶっこわれ方が異常なこのシナリオ。もうその一点のみに尽きる話ともいえないことはないですが。しかし、ほんとにこのキャラ、ただインパクトを与えるためだけに作られてたわけね……。
 エロシーンを見た後の、集合写真に写ってる幽霊にも笑わせてもらいました。





 そんなわけで、感想終了。

 いやあ、将臣シナリオに関しては、ほんとファンディスクとは思えないくらいのすごい内容でした。

 それはそうと、エンディング曲の『live』ってのって、もしかしてみぃなが作詞した、ってことになってるのかな。聞いていてふと思ったんですけど、牢獄でみぃなが書いていた歌詞と一致しますしね。だとすると、一層感慨深いなぁ。


 ヒューマンドラマ、というに値する素晴らしい物語だったと思います。


 さて、ちょっとG線でもやり直そうかな。



『車輪の国、向日葵の少女』 各ルートエンド 感想



 『車輪の国、向日葵の少女』の各ルートの感想



 とりあえず、ハッピーエンドの後にバッドエンドの感想をするというのもあれなので、バッドエンドから感想やっていきます。



○さちルートバッド

 自業自得。賢一逝ってよし。

 このエンドにつっこむには、賢一の法月さんへの宣言を簡単に撤回することにもつながりますからね。まなが認めない絵は買い取らないって言ったんだから、ちゃんと守らないとね。

 法月さんが目の前にいるだけで、「あ、殺されるぞ」、と思ったのは僕だけじゃないはず。


○灯花ルートバッド

 ……いやぁ、悲惨だ。

 こっちはかなり同情しちゃいました。まあ、大音親子が好きだからってのもあるかもしれませんが、たった一度の過ちで取り返しのつかないことになって、壊れてしまった灯花が可哀そうで……。(いきなり自慰をし始めたところは、もう悲しくてなんか泣きそうになりましたよ)
 ついでに完全無気力になっている賢一も見ていて悲惨だった。磯野からひたすら「犬」と呼ばれる毎日。まあ、言われても仕方ないと思っちゃってるところがなぁ。

 G線上の魔王のバッドエンドは全部悲惨でしたが、それと同じくらいひどかったなぁ。


○賢一教官エンド


 森田さん怖いっす。

 妙にリアリティのあるバッドエンドだったな……。
 要するに、法月さんと同じってことを言いたかったんでしょうね。立派に成長しちゃった賢一は凄味があって、もう完全に法月さんが乗り移っちゃってるよ。
 ってか、もしかしたら法月さんも同じ気持ちだったのかな、と思うとなんだかやるせないです。





 さて、ここからはハッピーエンドです。





○ハーレムエンド 
「さあ、ようやく本来のラブラブ萌え萌え路線になってきたわよ!」

 賢一、一度死のうか。

 いや、結構よかったんですけどね。幸せいっぱいって感じで。ただ、みんな賢一引っ張りすぎ……。
 磯野が不憫すぎてなんだかなーです。
 せめて集合写真に磯野も入れてやって……。

 あー。でも、灯花の、「わ、私はね、家庭的なのよ」というセリフには悩殺されました。




○さちエンド
 「まなのお姉ちゃんは、すごいんだよーっ!」


 成長したマナの登場はよかったです。
 もう、さちの物語はこの瞬間のためにあるようなものですしね。抱き合って上記のセリフを言ったところでは、鳥肌が立ちまくりでした。
 ええ話やぁ。




○灯花エンド
 「さあ、めしあがれっ!」

 つくづく、僕は大音親子が好きなんだなぁと思いました。

 ああ、もう。最後の「めしあがれ」で涙が……。京子さんと灯花の幸せそうな絵で幸福感が……。

 とりあえず、やってきた本当の両親は、本物だったようでよかったです。京子さんもちゃんと確認してますしね。法月さんもさすがにそこまで鬼畜じゃなかったってことか。(ただ、それだと三章の序盤で届いた手紙はなんだって話になりますけどね。そこは、父親の精神異常ってことで)



○夏咲エンド
 「だぁいすき!」

 まあ、正ヒロインと言うだけあって、一番きれいな終わり方をしたエンドでした。

 この無邪気な夏咲の姿は、確かに可愛いよなぁ。……ただ、どうにもストーリーとしての魅力が恋愛の方にだけしか傾いていなかったから、他のヒロインに比べて感情移入しにくい。

 『車輪の国、向日葵の少女』のエンディングとしては、一番きれいかなぁと思います。


 ……しかし、エロは正直イラン。



○璃々子お姉ちゃんエンド
 「あなたにとって、政治家って何?」
 「人を変える職業」


 このルートに関しては、『車輪の国、向日葵の少女』で提示された問題に対する、ひとつの答えだろうなと思います。
 お姉ちゃんがヒロインとして置かれていますが、それよりも重要なのは社会をどうやって変えるかという、大きな問題に対する、賢一が出した答え。三ッ廣さち、大音灯花、日向夏咲、まな、大音京子、磯野一郎太、そんな仲間や知人たちの姿を見て、成長する姿を見て、そしてたどりついた答え。作中、賢一がずっと疑問視していた問題を、自分なりに解決させようとしている姿に、いいなと思いました。

 この考え方は、賢一たちがSF小説っていっている、僕たちの社会でも言えることなんですよね。社会っていう大きな枠組みの中に、歯車としていれこまれている僕たち。おかしいと思うこともあるし、そんなのひどいと憤ることも多い。それはどんな世界でも、どんな社会でも同じ。問題は、どうやって生きていくべきか。
 なんていうか、ちゃんとこのルートを作ってくれたことがすごくうれしいです。普通、こういった類の作品でも、問題を提示するだけ提示して、放置することが多いですから。ちゃんと、登場人物の答えを描いてくれたのは凄いと思います。


 しかし、メッセージ性って意味で、もったいないなぁとすごく思います。ジャンルにも問題がありますが、何よりもエロゲーってのが……。もっと一般の人に勧めるべき物語だと思うんですけどね。







 まあ、何はともあれ、すばらしい作品でした。


 こんなものが四年も前に存在していたとは……。これをやらずにいたら損していたなぁと思いました。


 しかし、これをやったら、今度はG線上の魔王やり直したくなってきたなぁ。パソコンも変わって、インストールし直さなきゃいけないし、ちょうどいいからプレイし直すか。

 その前に、ファンディスクの方をやりたいと思います。なんでも、法月さんがかっこいいとかで。マジであのとっつぁん好きなので、楽しみにしてます。



『車輪の国、向日葵の少女』 4章&5章 感想



 『車輪の国、向日葵の少女』 オールコンプリート!






 うわぁ、素晴らしかった……。

 昨日、五章を終わらせた段階で気づいたら三時でしたよ。途中いろいろやっていたとはいえ、五時間くらいぶっ続けでやってたんだなぁ。


 もう、途中で終わらせることもできずにずるずるとずるずると引きずられるように読まされていって、何度もどんでん返しにやられて、その果てに法月さんのあの優しい声にやられて!
 引力がものすごかった。G線のときもそうだったけど、途中でやめられないんだわ。どういう風に決着つくのか全く予想がつかないので、じっと画面を凝視してしまう。セリフの一つ一つがいいので、ヴォイスまで全部聞いちゃう。なんていうか、普通こういうノベルゲーム系する時って、声がうざくなってとっととクリックしたりするんですが、不思議とこのゲームは全部オートモードで見て、セリフまで全部聞いていっちゃったよ……。

 四章だけじゃ物足りなかったので感想書かずに五章に突入しちゃったんですが……。しかたないので、一緒にやっちゃいましょう。






 四章 てのひら

 「大好きでしたから!」


 夏咲ルートで言えることはひとつ、すべては四章のラストのためにある。

 最後に夏咲が素直になるとは予想していたんですが、ここまで追いつめられた状況で、ここまで堂々と宣言してくれるとは思いませんでした。あのおどおどとして元気がなかった少女が、元の活発な向日葵のような表情を取り戻して、大好きだと叫ぶ。これまで我慢していた思いのたけをぶつける。その衝撃は凄かったです。

 過去編の夏咲は本当に無邪気で……。そして、徐々に明かされていく賢一の過去が、もどかしくも悲惨で。核心に迫り、決戦に向けて意識を固めるという意味でいい章だったと思います。

 ただ、まあ……。話としての魅力は、最後だけだからなぁ。ま、次の五章がよかったということで。







 それで、五章。


 あー、今さらですけど、ぶっちゃけこの五章のネタばれはやばいので、スルー決め込む人はここでバック。できたらプレイしたことがある人だけ読んで。










 五章 車輪の国

 「――手を貸そうか?」





 璃々子姉ちゃんパネェっすwww!



 もはやこれしかいうことがない。


 姉ちゃんのセリフのときの鳥肌は半端なかった。璃々子姉ちゃんの一枚絵に章タイトルが着た瞬間、「やられた!」って全力で叫んでいましたよ。うっはー。こりゃG線の比じゃねぇ。文句なしの複線回収だ。
 G線のときのあれは、矛盾もあったりしてハッキリ言って無理やり感があったんですけど、車輪のお姉ちゃんのこれはうまかった。設定をちゃんとうまく使っているし、極刑についてぎりぎりまで明かさなかった理由もうまい。ところどころ無理があるようにも思えるけれど、賢一の後にいないときもあったことを考えると納得はできる。ジェラルミンケースの中の下着も、まあ納得ですね。


 あー。っつーかお姉さま! テンションの高い姉ちゃん最高だよ! うっはー、すげー頼もしい。加えてギャグがさえすぎてる。この人のしゃべり口好きなんですよ。さっすがハードS。別にMじゃなくてもそのドSっぷりを見せられたら興奮しますって!



 いやぁ。ヒロインとしてはあんまり好きじゃないけど、キャラクターとしてはかなり好きだなこの人。





 そして、そのあとの怒涛の展開。


 まず、さちと灯花の救出作戦のときに、『watch out!』が流れたことにテンションが上がりまくります。やっぱBGMの中じゃこれが一番だわ。

 でも、面白そうだからという理由だけで僕はバッドエンドに突っ込みました。攻略サイト見てとりあえず分かっていましたからね。わざと五回も間違えるのは大変だったぜ……。

 まあ、そのあとはちゃんとプレイして救出したんですけどね。



 個人的に、灯花を救出するときの京子さんの登場にはふるえました。

 「灯花に、家の子に手を出したら、ただじゃすまないわよ!」

 ああ、もう。まだ泣くとこじゃないのに潤んじゃったじゃないか!

 この親子本当に好きです。車輪のエピソードの中で一番好きだわ。ああ、京子さん成長しちゃって……。灯花もうれしそうで何よりだ。



 そういえば、灯花とお姉ちゃんがもともと知り合いだったってのですが……。お姉ちゃん、こんなやさしい子になんてことを。
 子供のころの灯花は、今以上に可愛くて……そして純粋すぎて、すぐにお姉ちゃんの黒さに染まっちゃって。腕組んで顎上げて、「ぶっ殺すぞ」と喜んで行っている姿に大爆笑しました。
 ああ、もう。取り返しのつかないことをしてしまってwww!





 そして、そのあとは夏咲救出作戦。

 ここからは伏線回収の宝庫ですね。はじめからばらまかれてあった伏線も、このときにまいた伏線も、次々に回収してくれる。

 さちが書いた向日葵の垂れ幕。屋上に立っていたお姉ちゃんの身代わりの灯花。特に後者には驚きました。
 しかし、そんな風に全部がうまくいくわけにもいかず、法月さんとの決戦の時の左足にはまんまとやられました。これは、確かに想像もしなかったわ。一度賢一が左足を狙ってねじ伏せたことがあったからよけいに、そんなことはないと思っちゃったんですね。

 「我々は他人の思考を予測しているのではなく、指定しているにすぎない」

 
 さすがです、法月さん。

 っていうか、これってどちらかというと主人公理論なんですよね。強大な敵と戦うために、主人公たちが取る唯一の手段。それを敵がやるとこれほど恐ろしいものなのかと、まざまざと思い知らされました。
 しかし、飛んでもねぇなこの人は。自分がいつ、誰に襲われてもいいように、わざと弱点を作っておくなんて。一度賢一にねじ伏せられた時も、まだ賢一が本気でないとわかっていたからであって、もし敵が本気だとわかっていたら、すぐに反応できるようにしていたんだなぁ。

 策の練りあいで圧倒的な差をつけられて、もはや途方に暮れるしかありません。



 っていうか、この時点でどうやって法月から逃れるのかまったくわからなくなってしまいました。


 牢獄に閉じ込められて、極限状態まで持っていかれて。やってくる法月は脅威でしかない。密室状況で、一人ひとりに効果的な拷問をしいて行くところは、なるほどと唸るしかありません。ほんと、賢一のあれがなかったら絶対に逃れられてないよな……。



 賢一のドラッグについてですが、ぶっちゃけ薬中患者にしては壊れ方が弱いなぁとは思っていました。本当の中毒者は、クスリの種類にもよるでしょうけどまともな精神でいられませんからね。ましてやクスリを絶ってしまったら、一週間も持つとは思えないし。
 まあ、ゲームだしそれくらいの甘さはいいかなぁとか思っていたんですが、見事にだまされましたね。まさかそんなところまで計算づくとは、るーすぼーい、侮れぬ。

 一か月たって、最後に法月から「クスリがほしいか?」とせめられる賢一のシーンで、だんだんとおかしいと思い始めて、みんなの期待の中、賢一がクスリのことだけを口にしだしたところで「まさか……」と思いました。思考の指定。法月さんがやったように、まさか賢一も……。その予想が当たって逆転した時のテンションは、真夜中の二時だというのにものすごくハイでした。
 法月さんが確認を取り始めたのは完全に敗北宣言。あの絶対に折れそうになかった巨木が、とうとう賢一の前に倒れました。
 そのときの安心はもう……。。ヒロインたちの「信じてたよ」っていう涙が混ざった言葉に感情移入します。ああ、本当にダメかと思った……。


 しかし、本当にこの牢獄での戦いは緊迫感あったなぁ。

 スキップしても、かなりの分量がありますからね。オートモードで一時間くらいかかったかも。でも、それくらいの分量をかけたからこそ、絶望感がのしかかってきたし、最後の逆転が素晴らしかった。

 ひとつだけ文句を言うとすれば、下世話な話なんですけ下の世話の方かな。やらないわけにはいかないんだし、また賢一以外は女なんだから、あれもあるだろうし。一応用をたす穴があるとは言っていたけど、人がいる前でそれは大変だぞ……。いや、冗談じゃなくて。本当に、こういった監禁っていうので一番怖いのはそこですから。


 ま、そこはみなさんの思いやりの精神で何とかなった、としておきましょう。




 そのあと、脱出して町から逃亡。洞窟についての伏線を回収して、一気に町の外まで。

 その時に出てきた磯野については、もうグッジョブとしか言いようがない。ここまで、本気でこの男はここぞって時に出てきてくれる。活躍自体がサポートに徹していたので目立ちませんが、こいつ大好きです。精神力とかの面でも、一番すごいよなぁ。こいつが監禁された場合、たぶん賢一のような長期的なだましがなくても、うまく相手をだませたんじゃないかと思いますよ。
 しかし、そのあとにもまたどんでん返しが。なんつーか、もう簡単に終わらせる気はない、っていう意思表示だねこれは。提示された山じゃなくて、山を半分くらい超えたところで明かされた崖を登れと言われているようなもの。もうここまでどんでん返しが続いたら、最後まで付き合うしかないじゃないですか。

 挿入歌は、G線の方がはるかに効果的だったけど、車輪の方もそこそこ雰囲気出ててよかったです。弱気なお姉ちゃんが、最後の最後で賢一を叱咤するときなんか、マジでよかった。


 そうして、地上に上がったときに立っていた法月さんが……。


 法月さんについては、正直嫌いになれません。
 あれだけ悪役に徹していても、なんだか『本当にそれが正しい』と思ってやっているようには思えなかったからです。ただ、『そういうことも必要だ』という意味で、反面教師的な立場に自ら立とうとしている。そんな姿が、すごいなと思います。
 まあ、実際こんなやつが上司だったらいやですけどね。ただ、キャラクターとしてはすごい存在感。こんな男に、最後の最後で認められたら自信にもなるでしょうよ。
 G線の権三は極悪でしたが、車輪の法月さんは偽悪って感じですね。どちらも、極めきっちゃっているので冗談が通じないとんでもない奴らですが、不思議と嫌いになれない。生き様が『信念』を持っているからだろうなぁと思いますが。






 そんなわけで、一気に書きましたが、すごくいい話でした。

 しかし、およそ一週間で片づけてしまった……。

 時間もあったからでしょうが、何より息もつかせぬ展開がよかったです。





 あとで、それぞれのエンディングについて感想書きまーす。



『車輪の国、向日葵の少女』 三章 感想

 ……車輪の国の、三章目、終了……



 優しすぎるぜ、灯花……



 そんなわけで、感想行きます。







 まず、一言をあげるとしたら……


 「私は、一生子供でいい!」




 もう、ラストはいいセリフがいっぱいありましたけど、灯花のルートで一番の主題はこのセリフまでの流れに凝縮されていると思います。

 『大人になれない義務』を背負っていた灯花。たとえ義務が解消されたとしても、それまでの名残で自ら選択することができない。自ら歩むことができない。そんな彼女に課せられた、一番の試練。
 悩みに悩んで、それでも決められなくて。結局、また人に決めてもらって。それでも、彼女は自分で選択しなかった。いや、選択しないことを選んだ。
 大人になるには、何かを選んで何かを捨てていかなければいけない。その過程で、誰かを傷つけることになっても仕方がないこと。そういった仕方がないことを越えていって、人は大人になっていく。それを灯花はしたくないといった。そういったことでしか大人になれないのなら、大人になんてならなくていい、と叫んだ。

 そこまでの流れで、灯花が自分で『決める』ようになって、大人になることが主題だと思っていたんですが、そうではなかったんですね。そういう風に切り捨てていくだけが成長じゃないんだということを示すような話だったと思います。いや、正直解決法自体は難しい話じゃないんですけど、その意味を考えるとすごいなぁと思います。




 っていうか、前半は確かに灯花がヒロインでしたけど、後半は明らかに京子さんがヒロインだよな……




 前半は、とにかく京子さんが怖かった。明らかに精神的に不安定で、どんどん灯花に対する義務がひどくなっていって。父親からの手紙の下りは、たぶんそういうことなんだろうなぁとは思っていたのですが、さすがに目の前で破るのはまずいですぜ京子さん。まあ、あとで誤解は解けましたけど。(でも、ひとつ疑問なのが、どうして破いた手紙をセロテープで張り付けてたんだ……?)

 研修に行った京子さんを、灯花の「助けて」の一言で助けに行った賢一はすごくかっこよかった。その時に流れた『watch out!』っていう曲がまたいい。洞窟に閉じ込められたさちを助けるときにも流れましたが、これ流れるとすげーテンションあがるわ。今まで何もできなったが、今はできる。そんな自信に近い何かを感じられます。

 そのあと誤解を解いて、親子で話すところは本当にしんみりとしました。一応、いろいろなぞも解けましたしね。何で片親なのにどっちも『大音』なのかはすごく気になっていたんですけど、なるほど、って感じです。かなり複雑ですねぇ。



 次の日からの京子さんの豹変には爆笑しました。やべえ、なんだこの馬鹿親!
 精神的に安定していないのは確かなんだろうけど、本当に灯花のことが好きなんだなぁと思えるシーンでした。全部見終わったあとに、このぶっ壊れた京子さんを見返すと、なんともいえない気分になります。



 で、後半は、とにかくじれましたね……

 提起された問題は、そもそもあの『手紙』の件があったので、「いや、それは大丈夫なの?」ってずっと心配だったんですが、とりあえず話がサクサク進んで行ったので、『大音夫妻は改心した』ってことで話を進めてみました。
 まあ、それは一部正しかったみたいで、とりあえず相手の親が最低な親だった、っていう話はなかったようです。なので、どちらかといえば後半の問題は京子さんの心の闇の方。

 たいていの謎は明かされていましたが、本当に核心に迫る部分だけはぎりぎりまで明かされてなかったんですよね。
 灯花が火傷を負った時のCGに関しても「あれ? だったらこの構図おかしくない?」とはずっと思っていました。京子さんは、『鍋をしていた』って言っていたので、だったら台所の場所と立ち位置が逆じゃないか?と。最初は原画のミスか、と思ったんですけど、ちゃんとそこも回収されてくれてよかった。

 ……っていうか、賢一よ。切り出すタイミングが悪すぎるぜ。もうちょい早くいうこともできなかったのか? 灯花が火傷を負ったのはケーキを焼いていたとき、って言った時に違和感はあったはずだし。


 まあ、でもそのあとの展開はよかったのでとりあえず文句はなしです。


 賢一の告発で壊れてしまった京子さんの暴れっぷりは、今まで感じていた不気味な均衡が崩れたんだ、ってことを意識させてくれてやばかったです。なんか、ずっと不気味だったんですよね。その理由は、京子さんの告白で全部理解できました。
 親から愛されない子供が親になったら。しかも、それが実の子供じゃなかったら。もともと危うかった精神が壊れていく。叫ぶ京子さんの姿は、駄々をこねる子供のようでした。どうして自分は不幸だったのに、灯花は幸せそうなのか? 自分はとても辛い思いをしてきたのに、どうして灯花は楽にしているのか。そんな稚拙な、それでいて心の奥底に根を張った感情がすべて爆発した剣幕は、恐ろしいほど。悔しくて、うらやましくて。
 京子さんは大人に成りきれていなかったんでしょう。そもそも、大人に成れなかった、といった方がいいのかもしれない。親にまともに接されなかった自分が、まともに娘に接することができるわけがない。そんな気持ちが、強迫観念としてずっと付きまとっていた。自分は大人に成りきれていないと、半ば暗示のように思い込んでいた。だから、ときおりあんなに不安定になったし、灯花に対してひどく当たってしまった。

 そんな京子さんを救ったのが、灯花の優しさだったってのが、すごく良かった。
 昔、京子さんが自分の母親にされたように、灯花の手料理を拒絶したというのに、灯花はそれすらも受け入れた。「おかわり、あるから」って彼女が言った時は、本当にやばかったです。母親の苦しみを全部受け入れてやる、という覚悟があるその一言が、どれだけ強いことか。
 灯花は優しいというのは、これまでの話を見ていればわかったことですが、それでもここまで凄いとは。
 でも、考えてみれば簡単な話です。これまで灯花は、その優しさを向ける場所がわからないでいた。だからずっと悩んでいたけれど、ひとたび自分がどうすればいいか分かったら、彼女は向ける感情を惜しまない。その優しさを、惜しみなく与える。

 大人にならなければいけなかった少女が、『大人にならない』を選択することで成長する、っていうのがいいなぁ、と思いました。


 ああ、しかし本当に優しいなぁ。
 最後の選択だけじゃ、ここまでやさしいとは思えないんですよね。それまでの積み重ね、三章全体で表現された灯花の性格があったから、最後の選択にうなずけるし、その優しさに感動できる。子供っぽいけどわがままじゃない、人を思いやれる優しい子。そのひたむきな優しさは、それまで優しさに触れることのできなかった京子さんにとってはこれ以上ないものでしょうね。





 ……っていうか、なんかマジで灯花が主人公で京子さんがヒロインな気がしてきた。
 まあ、賢一は必要な存在だったんですけどね。その場にいて、大音親子の成り行きを見守っていることが必要だった。第三者っていう視点がなかったら、灯花も京子さんももっと早く駄目になっていただろうし。

 はぁ。しかし、京子さんが救われて良かったなぁ。(←なんかもう、これが一番大切な気がする)
 もう僕の中でベストヒロインは京子さんです。





 あー、垂れ流したらものすごく長くなった。


 さて、とりあえず次は夏咲です。「どもどもです」の夏咲。メインヒロインのはずの彼女には、どんな話が待っているのか。



 そういえば、結局「ぶっ殺すぞ」ってのはなんだったんでしょうね……



 PS:
 璃々子姉ちゃんやばすぎ。変態だー!
 ハードMへの第一歩。マジパネェ。


 さらにPS:
 最後の法月さんの話ですが……。あれはどう解釈すればいんだろうか。もしあの話が真実だとすると、ちょっと行き過ぎなきもしないでもないんですよね。まあ、法月さんの権力があれば家庭裁判所の記述とかも偽れるかもしれないけど、最後に法月さんが笑い飛ばしたりもしたので、なんともいえないなぁ。それに、もし偽装家族が本当だったら、わざわざ灯花に会いに来るって約束するのもおかしいし……
 タイミング的に抜群だった理由は説明できるんですけどね。どうも、なんかその説明で納得したくないって気持ちが強いです。なにぶん、まなの時とは違って、そこまでの必要がない気もするので。
 まあ、願望ですけどね。




プロフィール

Author:西織白夜
とうとう大学生となり、いろいろなことに不安を抱えている大学一年生。

性別:男
年齢:18歳
血液型:A型
趣味:読書&執筆
将来の夢:作家(前途多難)

補足:
自他共に認める西尾維新信者。また、奈須きのこについても信者認定してもいいんじゃあないだろうか。
この二人についてなら、いくらでも語れます。


本の感想などを見たい人は、こちらをどうぞ
『空っぽの知識(読書日記)』
http://emptyreader.blog81.fc2.com/



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