空っぽの知識
 かたよりまくった読書くんの日記
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『零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係』 感想
 もう読んだのは一週間くらい前になりますが、メフィスト掲載の『零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係』の感想を今更ですが書きたいと思います。


 というわけで、未読の方は回避回避。









 『零崎人識の人間関係』改め……





 ザ・オールスター感謝祭!







 というわけで、すごいメンバーでしたね今回は。


 人間シリーズは戯言シリーズの伏線回収に使われているのは分かっていましたが、ここまで露骨にやってくるとは……。




 まあ、そんなわけで。今回は、兄妹の話。


 零崎人識と無桐伊織の関係であり、
 闇口崩子と石凪萌太の関係。


 この符号から、伊織との関係のときに、わざと崩子と萌太の話を絡めてきたんだというのは分かるんですが、しかしいかんせん少しばかり伊織と人識の関係が弱かった気がしないでもないです。
 出夢との関係のときがモロに二人きりの世界だったのを考えると、ちょっと残念だったかなぁ。


 といっても、話自体は面白かったです。



 久しぶりに戯言メンバーが見れたからもう始めからテンション上がりっぱなしでしたよ。始めに萌太と哀川さんの会話から始まったので、そこでもってくるか! と思いました。
 人識と伊織が哀川さんの病室を襲撃する流れはもう爆笑の連続。化物語の漫才のようなノリとは少し違ったテンションですが、どちらかといえばこっちのどたばたアクションっぽいノリの方が好み。伊織ちゃんの「パンツじゃないから恥ずかしくないもん」発言とか、人識君のファッションがやばいとかとにかくキャラクターのピンポイントを突いてくれる。
 っていうか、哀川さんの漫画ブログ読みてーッ!




 まあ、そんな風に一つ一つネタを取り上げていったらきりがないので、とりあえず大きなところを一つずつ。


・クリスタルカイザー六花我樹丸について。

 …………。
 色ボケ爺じゃん。

 いやー。なんつーか。『生涯無敗』っていうのの本領発揮できなかったために判断しづらいですが、とりあえず強いんですかねこの爺さん。
 人識の話によると、直木飛縁魔と同じ部類で、目立たない強さを持っているそうですが、それがどれほどのものか図れないのが残念だなぁ。戦ったのは力失った崩子ちゃんだけだから判別のしようがないし。あれだけの大口叩くくらいだからまさか単純に弱いとは思えないけど。
 ただ、多分哀川さんとガチでぶつかったとしても、今回と同じような結果になりそうだなぁと思います。勝負が勝負として成り立たず、あいまいなまま終了してしまう。そもそも、哀川さんの強さは『勝ち』や『負け』が素直につくような次元じゃないだろうし。


 しかし、石凪と闇口の両方に子を設けたって話である程度予想はついてたけど、この爺さんマジでパネェなww


 最後に崩子に対して優しい言葉をかけたときは、なんか普通のお爺ちゃんって感じでした。



・石凪砥石について。

 最後の落ちにびっくりした。

 ああ、なるほど。そうくるか、って感じですね。
 さすがに『呪い名』の死吹まで絡めてきたのはやりすぎかなぁとも思いましたが、とりあえず不明だった『呪い名』の一つの一端が明かされたと思えばいいです。

 ただ、出来ることならもう少し描写が欲しかったなぁ。
 というわけで、新たな零崎一賊、零崎問識をよろしく。

 ……っていうか、結局人識は新しく出来た弟と逃亡生活ってことだよな。なんというブラコン



・赤き征裁VS橙なる種

 「げらげら――げら」

 で大爆笑。

 大厄ゲームつまんねー。などと余裕ぶっこいて言っていた哀川さんの平静がぶっ壊れていく様が最高でした。
 ってか、いくら旧式と新型の差といっても、いくらなんでもスペックの差が酷すぎるww

 最終決戦後一ヶ月の二人のスペック

 哀川潤 → 回復二割。体の全筋力零からの回復。未だ握力は戻らず。
         ※注:ヘリコプターからのゴムなしバンジーによって、湖に落ちたものの体力は一割以下に。

 想影真心 → 百パーセント。全力全開。友達と喧嘩したくてうずうずしている悪ガキ
           ※注;ヘリコプターからゴムなしバンジーを試み、一枚岩に着地するも無傷。


 哀川さんの「お前人間じゃねぇよ!」発言には腹抱えて笑いました。

 でも、そんな状態でも寝かしつけてしまう哀川のおねーさまがかっこよすぎます。人類最強の名にふさわしい人ですねやっぱり。

 しかし、この橙色の暴力を赤色に向けて放った某戯言遣いはマジで懲らしめるだけのつもりだったんだろうなー。まさかこんなやばい状況だったとは思ってもいまい。

 そして、闇口崩子ファンクラブに連ねている名前の中に、さりげなくあかりさんの名前がないのににやり。なんだかんだであの人はツンデレだよなー。そしてネコソギで京都に来たのはひかりさんかてる子さんか分からないという微妙なネタバレ回避もうまい。数人さんはただのロリコンだろww



・闇口崩子について

 萌太が最後に残した依頼に泣かされました。

 ちょっとばかりご都合主義が強すぎる気がしましたが、ページが足りないので仕方ないとあきらめます。我樹丸と憑依の内面をもう少し掘り下げてくれたら良かったんだけどなぁ。

 でも、正直闇口と石凪なのに兄妹ってどういうことか気になっていたので、このタイミングでくるとは思ってなかったのもあって正直うれしかったです。
 出来れば『戯言遣いとの関係』のときに再登場を願います。



・零崎人識と無桐伊織について

 今回のメイン。
 とある二人の、ある日突然結ばれた兄妹関係について。

 まあ、要するに対等の関係でありたいという願いですよね。
 世話したり世話されたり。見守ったり見守られたり。そういう何気無い関係が二人のベストな関係。
 ただの兄妹関係じゃないそんな関係が、零崎となっても家族と呼べるものが人識しかいない伊織と、零崎の中でも零崎になれなかった人識の二人にはある意味ふさわしいのかもしれないなぁと思いました。


 伊織については、やっぱりというかなんと言うか、殺人衝動が問題として上がりました。
 零崎一賊が人を殺すのは、そうしないと生きていけないからという前提条件がある以上、伊織だけが例外というのはさすがに都合が良すぎますからね、やっぱりといえばやっぱりです。
 曲識という前例を出したのは、このためだったのかもしれないですね。零崎曲識の話は、途方もない一人きりの戦いに挑む伊織に、僅かばかりですが希望になりそうです。
 ってか、殺人衝動の反動状態が、まんまバーサーカーww。零崎一賊のクラス判定はバーサーカーですかそうですか。

 と、読んでいてふと思ったのですが、人間試験のラストで書かれた『零崎舞織』というのはもちろん伊織の零崎名ですが、まだ地の文が『無桐伊織』になっているのは、これが理由じゃないでしょうか。
 要するに、零崎であるための条件である『殺人』をやらないでいようとしているからこそ、まだ彼女は完全に『零崎』じゃない。だからまだ、彼女の描写は『舞織』じゃなくて『伊織』じゃないのかなぁ。
 最終的に彼女がどうなるかは分かりませんが、出来れば笑っていて欲しいものです。(再登場の隙は、『人間関係』の中にはさすがになさそうですしね)


 次に、人識。
 人識のネコソギ時点での体調不良の伏線が回収されたのは良かったのですが、いくらなんでも残酷すぎる……。
 二重生活送っていた頃ならいざ知らず、今は裏の世界でしか生きられないというのに、そこからもはじかれてしまうなんて悲惨以外のなにものでもない。
 というよりも、人識にとって居場所といえる場所が一つもないということに、なんだか寂しさを感じます。
 確かに、零崎同士の近親相姦によって生まれた鬼子といっても、零崎一賊の定義からするとおかしいんじゃないの? っては前から思っていました。でも、まさかピンポイントでこんな悲惨な運命が用意されてるなんて……。

 でもこれで、これまでの人識の曖昧な立ち居地の説明がついてしまうんですよね。どちら側にもよれない、中立ですらない、宙ぶらりんな立場。
 だから、人識にとっての人間関係というのは、重大な意味を持つんだろうなぁと思いました。そういう意味で『零崎人識の人間関係』という題名になったのかもしれない。


 一つおさらいとして、
 人識と出夢の関係は、『敵対関係』
 人識と伊織の関係は、『兄妹関係』

 そして、あと二つの予想。
 人識と双識の関係は、『兄弟関係』でいいとして、人識と戯言遣いの関係は?

 順当なところで言えば、『友達関係』とか『同類関係』、『対称関係』とかが着そうですが、いまいちあわないような気がします。
 だいたい、『友達関係』の場合は出夢との関係でもある意味取り上げられているように思うので却下せざる終えないかも。(あと、邪推すると『恋人関係』も出夢で消化済み)

 本当にどうしてくれるんだろうなぁ。




 まあ、そんなこんなで『零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係』の感想でした。


 今回で回収された伏線と撒かれた伏線が複数あったので、そのうち暇だったらまとめるかもしれません。

 何はともあれ、次の双識との関係もかなり楽しみです。おそらく次は小さな戦争の話題が来るだろうし、萩原子荻の出番もあるはず!


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2008年 読んだ本個人的ベスト10



 以前言っていました、今年読んだ本の個人的ベストテンをやりたいと思います。



 おおー。




 ぱちぱちぱちぃ~。






 …………。







 ルールを説明します。

 まず、上げるのは『今年僕が読んだ本』であり、別に『今年発売した本』ではありません。(まあ今年発売した本が多いのは当たり前ですが)

 次に、選出基準は『読後の気持ちの強さ』です。心を揺さぶられた順に行きます。他意はありませんはい。

 最後に、『二冊以上同一作家のものは入れない』です。あんまり同じ作家ばかりじゃ面白くないので、その作家の中でも一番面白かったものをあげます。




 では、いってみよ~。







 第十位!




 『阪急列車』 著/有川浩

阪急電車阪急電車
(2008/01)
有川 浩

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 有川浩のは『別冊・図書館戦争』とどちらにしようか迷いましたけど、話の構成でこっちを。
 とりあえず読了したときの『帰ってきた』っていう感じが最高。片道十五分の折り返し。その間に繰り広げられるさまざまな人間模様がすばらしいです。
 ホント、よくここまで話を広げられるような、と思いました。




 第九位!


 『マテリアルゴースト』 著/葵せきな


マテリアルゴースト〈5〉 (富士見ファンタジア文庫)マテリアルゴースト〈5〉 (富士見ファンタジア文庫)
(2007/05)
葵 せきな

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 ちょっと狙った感があったりしたけど、読んでたときはかなり夢中になりました。

 ってか、四巻が神です。あれはすごかったです。
 ちなみに、感想はこちら

 ……正直、葵せきなさんにはもっとシリアスを書いて欲しい。生徒会シリーズが売れてるから無理かもしれないけど、この人完全シリアスかかせたら真価発揮しそうだけどなぁ。





 第八位!


 『死神の精度』 著/伊坂幸太郎



死神の精度 (文春文庫)死神の精度 (文春文庫)
(2008/02/08)
伊坂 幸太郎

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 なんだかんだで一番印象に残ったのはこれ。
 『魔王』とか『グラスホッパー』は漫画の方の補正が強い気がするので、ここでは除外。連作短編の小説として、かなり面白かったです。

 とくに、第一話から最終話のリンクには、鳥肌が立ちました。

 伊坂幸太郎は、ほんと地味にうまいから癖になる。





 第七位!



 『さまよう刃』 著/東野圭吾



さまよう刃 (角川文庫)さまよう刃 (角川文庫)
(2008/05/24)
東野 圭吾

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 夢中で読みました。
 そして読み終わった後のやるせなさはすごかったです。

 正直、これは真面目に感想書きたかったんですけど、いくら書き連ねても仕方ない内容なんですよね。ただただ、復讐するためだけに行動する主人公の姿がさびしく映ります。
 ラストがああいう終わりだったのも、衝撃的でしたね。せめて本懐くらい果たしてあげてよ、と思います。その辺、妙にリアルだったのでぐっさりと刺さりました。




 第六位!


 『世界の終わりの終わり』 著/佐藤友哉


世界の終わりの終わり世界の終わりの終わり
(2007/09)
佐藤 友哉

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 えー。世間では評判の悪い本作品ですが、わたくしとしては本当にどツボにはまりまして。はい。

 んー。なんか日和ってるって意見が多いけど、むしろこれ佐藤友哉の心情爆発じゃない? ってか、痛々しくない? もうその辺大好きなんですよ僕。

 まあ、というわけでこんな位置。なんだかんだでこれ読んだの三月くらいみたいですけど、かなり印象に残っています。





 第五位!


 『Fate/Zero』 著/虚淵玄




 諸事情によりイメージなし。(だってアマゾンに売ってないんだもん)

 ぶっちゃけ今年一番始めに読んだ本です。いやあ、もう熱かった。

 こっちもなんでかネット(とくに2ちゃん)で評判悪いけど、なんで? すごいじゃん。ってか熱すぎでしょ。キャラが違うとか言うけど、みんな自分の信念に付き従ってる姿はそのままじゃん。

 まあ、なんです。とりあえずイスカンダル×ウェーバーにはマジで泣かされました。あれぞ王道!





 第四位!


 『四畳半神話体系』 著/森見登美彦

 
四畳半神話大系 (角川文庫)四畳半神話大系 (角川文庫)
(2008/03/25)
森見 登美彦

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 『夜は短し歩けよ乙女』とどちらにすべきか、と悩んだのですが、話の内容的にツボにはまったほうということでこっち。(笑えたのはどちらかといえば『歩けよ乙女』の方でしたが)

 なんていうかね、この面白さは読んでもらわないと分からない。説明のしようがまったくないです。
 一人称の文体の所為で読む人を選ぶというのはあるでしょうが、もしこの文体が面白いと思う人は完全にはまると思います。もうとにかく。これは買ってよかったと本当に思いました。








 さぁて、ここからはトップスリー。

 ちょっと長すぎるよねこの記事、と思いながらも、気にせず発表しますよ~。



 では




 第三位!



 『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』 著/西尾維新

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)
(2008/12)
西尾 維新

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 バリバリ最近、っていうかつい先日の話ですね。はい。

 ちなみに、西尾維新は『偽物語』と『きみとぼくが壊した世界』のどっちにしようか迷っていましたところに、これが来ました。

 ついでに言うと、本当は西尾維新は四位で、森見登美彦が三位のつもりでした。その作品に関わらず。


 ぶきぼくの登場で、一気に形勢逆転でした。

 なにがここまでさせたかというと、やっぱりそれは串中弔士の物語の終わりを見せられたから。
 あの最終章だけで、もうガツンと食らいました。こういうのがあるから西尾維新は大好きなんです。







 第二位!


 『鉄道員(ぽっぽや)』 著/浅田次郎


鉄道員(ぽっぽや)鉄道員(ぽっぽや)
(1997/04)
浅田 次郎

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 いま「は?」って思った人挙手。
 まあ、確かに脈絡ないけどさ! でも、本当はこれ、始めは一位だったんだよ! それくらいの衝撃でした。
 これ、感想本気で書きたかったんです。
 でも、いろいろ重なって今まで書けなかったんです。


 とりあえず、なんで唐突にこんなのを持ち出したかというと、この中の『ラブレター』っていう短編を読みたかったから。
 そして読んでみて、一気に浅田次郎のファンになりました。
 やばいんです。本当に。短編小説で泣かせるような作品に、僕は初めて出会いました。マジで最後に泣きそうになりました。たった五十数ページで泣かせるんですよ? こんなの初めてですよ。

 そのあと収録されている短編全部読んで、完全に浅田次郎の虜に。図書館行って絶対に確認する作家の一人になりました。

 この本の中で特にお勧めなのは、『ラブレター』と『角筈にて』。表題作の『鉄道員』もよかったけど、個人的にはその二つが最高でした。どちらも最後の一文における湧き上がる感情がすばらしいです。ぜひ一読を!









 では、とうとうやってまいりました。




 さて、問題の第一位は……





 第一位!


 『とらドラ!』 著/竹宮ゆゆこ


とらドラ!〈9〉 (電撃文庫)とらドラ!〈9〉 (電撃文庫)
(2008/10/10)
竹宮 ゆゆこ

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 「やっぱり」と言った奴、挙手!

 ああ、そうだよ。やっぱりだよ! 出来レースなんだよ!


 本当は一位は浅田次郎だったんですよ。でも、先月こんなものに出会っちゃった。出会ったものはしょうがない。

 一気に九巻まで読めたというのもあったでしょうが、とにかく一つ巻を読み終わるごとの読後感はやばかったです。あそこまで精神的にダメージ受けたのはマジで久しぶりでした。(だって、リアルに失恋したときの気分でしたもん)
 特に五巻以降のレベルの高さは異常。ここまで心をつかまされた事が今まであったっけ、と思うくらいの勢いでした。

 所詮ラノベか、などと言わず、読んでみてください。
 これは本当に傑作です。







 そんなこんなで、今年読んだ本個人的なベストテンでした。


 正直、受験生とは思えないほど本読んでいることに今気づきました。


 ……うん。まあなんだい。今本読みたくて仕方ないよチクショウ。


『不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界』 感想

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス ニJ- 23)不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス ニJ- 23)
(2008/12)
西尾 維新

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 見つけて即購入。
 ポイントカードがうまく溜まっていたおかげで、ぎりぎり買えました……。


 塾に行く前に一時間と、帰りの電車、そして帰宅して後始末もせず強行軍で読みました。
 本当は一日くらい置いて書くべきなのかもしれませんが、きみぼく系はどうも今まで感想書けないことが多かったので、時間があるうちに書いておきます。




 さて。




 うん。すごかった。

 なんか西尾さんの本読むとき、きみぼくシリーズだけは『面白い』よりも先に『すごい』ってのがくるんですよね。なんか西尾ファンの中じゃきみぼくシリーズは一巻で終わっている扱いですが、僕的には一番初めに触れたものであることもあって、全体的にかなり好きです。
 っていうか、散々な言われようですけど、ぶっちゃけ完成度かなり高いと思うんですよこのシリーズ。ミステリーとしてみたらどうかといわれたら困りますけど、でもおとなしくミステリの枠組みに収まっているわけじゃなく、その中から少しずれたことをやろうとしている。そういうところ、僕のような人間にはかなりツボです。

 特に、今回は掛け合い成分が低い分淡白な情景が全体の雰囲気としてにじみ出ていたので、『大人側』から見た学校というイメージとかなりあう気がします。




 まあ、そんなこんなで。

 串中弔士。二十七歳。倫理教師。

 いや、マジでなんであんたが倫理教師やってんだよ、って話ですが。


 作中でもやっぱり、病院坂先生から全力で突っ込まれていましたが、それはもう全読者が思うところでしょう。少なくとも、ぶきそぼのころにやらかしたことや吐いたセリフを考えると、これ以上間違った職業選択はないし、これ以上的を射た職業選択はないと思います。(言峰が神父やるのと同じ感覚ですねこれ)


 あと、注目するのは今回の病院坂さん。いや、これ名前言っちゃっていいかな……。最近ネタバレ配慮を考え始めた身としてはあんま言いにくい部類ですが。
 ちょっと皮肉ったような語り口は、これまでのきみぼくシリーズの語り部というよりも、どちらかといえばいーちゃんを少し弱くした感じに近い感じがします。今の西尾さんがいーちゃんを書こうとしたらこんな感じになるだろうな、というような。ただ、ちょっとだけ物足りない気がするのは、やはり病院坂先生は本家とは違って凡庸だって言う証拠でしょうか。
 まあ、なんです。バックアップって結局なんなんだろう。



 そんな二人の、きみとぼくの探偵物語。

 ただ、視点は教師視点。



 西尾さんはいつも少年少女を主人公がすることが多いので、今回はかなり新鮮でした。っていうか、こんなのも書けたんですね西尾さん、って感じです。ホントこの人は、そつなくいろんな物語を書くよな……。


 なにより良かったのは、これは大人視点だからこそ出来る物語だった、というところですよね。
 学生を見ようとしない病院坂先生だったからこそ陥った罠。
 そして、思い通りには行かない世界。


 叙述トリックとかミステリ方面でも結構面白かったですが、何よりこの物語の肝はここ。串中弔士の成長と停止。

 十四年前のぶきそぼでの出来事。そのときのラストでの弔士くんは、ある意味でかなり輝いていたと思います。確かに、いろいろなことが重なり少なからずブルーにはなっていましたが、しかしそれ以上に未来への期待がありました。やりたいこと、人にやらせたいこと。そんなことを考えながら、最後にボソリと呟くあの一言の破壊力。それは、中学生にして異質な精神を持ってしまったがための恐ろしさ。

 でも、彼も人の子。
 どんなに異質でも、十四年前は子供でしかなかった。

 今回のラストでアンニュイな感じで語る彼の一人称は、正直見ていて切なくなりました。
 将来(さき)も限界(そこ)も見えてしまったことへの無常感。実際に体験したことがなくとも、それは誰でも想像できるものだと思います。
 特に串中弔士のような、自分では何もしないのに何でも出来るような、自分では何にも出来ないのに何でも出来てしまうような彼は、それを知ったときのむなしさはどれほどだっただろうか。
 彼の語り口が、もう少年ではなく大人になってしまったのだということを強調しているようで、言いようのない不安に近い気持ちを覚えました。
 なんていうか、ぶきそぼのラストの最悪な気分に比べて、この虚しさ。こうして串中弔士の物語は終わったんだな、と思うと、これが人生の一つの決着なのか、と思うと、もう現実的過ぎてつらいですね。



 そういえば、前から思っていたんですけど、串中弔士って、戯言シリーズの西東天と似ていると思うんですよね。
 そりゃあ、口調とか性格とかは結構違うんですが、『最悪』なところとか、感覚的に似てるんじゃないかな、と思っていまして。

 それがここにきて一致しました。

 結局、どう頑張っても自分の予想以上を越えることのない串中弔士。そのとき彼が感じた絶望は、戯言において、想影真心によってもたらされた世界の終わりに西東天が抱いた感情と同種ではないでしょうか?



 まあ、そんなこんなでまじめな話はここまで。





 最後にテンションを上げて突っ込みを。




 くそ、騙されたよ!

 た、確かにぺったんこだけどさ! ひんぬーだけどさ! しかし視覚的にその判断はむず……。
 いや、でも考えてみたら木々先生と通上先生の件ですでにそういうことが起こりうるって言うのは考慮に入れておくべきだったんですよね……。

 ってか、いちもん目のイラストで、ドーナッツ食ってる病院坂先生可愛すぎでしょ! これ詐欺でしょ! つーかなんでポニテ! ポニテ!?


 うわぁ、まさかの伽島刑事登場! ふや子さんの件ではご愁傷様に……。
 もう少し活躍して欲しかったものだけど、はてさて。再登場の余地はないだろうなぁ。(考えられる手とすると、病院坂に対していろいろ言っていたから過去に黒猫とあっているとかかな)


 ……つーか、ろり先輩!
 うわ、マジで落としたのかよ弔士! あの嘘吐きマシーンを! 嘘しか言わないあの女を! しかもベタぼれじゃねぇかよ!
 僅か一ページの登場シーンでこれほどテンションを上げさせてくれるとは……。くそ、彼女との大恋愛とやらの話も見たいぜ。


『真庭語』 感想
真庭語―初代真庭蝙蝠 初代真庭喰鮫 初代真庭蝶々 初代真庭白鷺 (講談社BOX)真庭語―初代真庭蝙蝠 初代真庭喰鮫 初代真庭蝶々 初代真庭白鷺 (講談社BOX)
(2008/12/02)
西尾 維新

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 さて、昨日買ってきて、昨日のうちに読み終わりました。

 とりあえず、感想としては面白かったです。ただ、面白いの意味がいつもと少し違うので、いつものテンションとは違いますが。
 『刀語』のときは、時間もなかった所為か勢いで書いている感じがあったため、テンポはよかったですがちょっと物足りないところも一部ありました。しかし、この『真庭語』では時間がかけられているからか、一話一話の濃度が半端ないです。四人の人物の人生の形を見せたという意味では面白かったです。


 で、読んで思ったのは、これはストーリー性よりも登場人物の信念なり人生観の方に重点を置いた話だな、ということでした。
 『刀語』の場合、全体を見通すと『歴史』という一つの大きな枠組みの中で展開される話であるのに対して、『真庭語』は『真庭忍軍』の頭領となる人物たち一人ひとりの生き方を見せているように思えます。『刀語』で、「歴史とは人である」という表現がありましたが、『刀語』の場合は、次々と移り変わる物語から、「歴史の中に人がいる」という雰囲気がするんですよね。それで、『真庭語』は反対に、一人ひとりの生き方に視点を当てることで、「人がいたから歴史が出来る」ということをあらわしているのではないでしょうか?


 まあ、そんなわけで、今回出てきたのは四人の真庭忍者。


 ・無欲の無頼派 真庭蝙蝠

 ・慈愛の夢想家 真庭喰鮫

 ・不屈の求道人 真庭蝶々

 ・異端の実力者 真庭白鷺



 どうしてこの四人が始めに選ばれたか分からないですが、それぞれの物語を見てみると、あることが分かります。
 それは、変わる者と変わらない者。


 例えば、『変わる者』というのは蝙蝠と蝶々です。欲というものをまったく持たず何事にも興味を持たない蝙蝠と、自分の身の丈を知ってしまっているがゆえに大願を求めることを考えない蝶々。二人とも、自分の中で自分の人生に区切りをつけていたのに、それがとある事件をきっかけに変わっていきます。芯こそ変わらないまでも、何らかの心情の変化は起きている。その変化こそが、彼らが歴史を作る一つの要素となりえるともいえるのではないでしょうか。

 対して、『変わらない者』は喰鮫と白鷺。自分の信じる平和主義を狂信的なまでに貫き通す喰鮫と、周りを気にせず自分の気持ちに素直に生きる白鷺。この二人は、決して変わろうとしない。いや、そもそも変わることがない。この二人は、『変わらない』ことで、周りに影響を与え変えていく者たち。鳳凰が白鷺を評価したように、改革を行う上で必要な不確定要素。


 まあ、だからなんだと言われたら困るのですが、こういう『変化』を起こすものたちというのは、歴史には必要不可欠なわけでして、『可変だからこその影響』と『不変だからこそ影響』の二つをバランスよく見せてくれたなぁと思いました。


 これは大まかなくくりで、もう少し小さなくくりで見ていくと、各人でもやはり違いはあります。
 この物語の大きな一本筋として存在する、十二頭領の選出。作中でもなんども言われていますが、リーダーたる素質は、さまざま。実力があるだけでは駄目だし、人望があるだけでも駄目。ちゃんと人を率いるだけの要素を持っていながら、それでいて特出した何かを持っているべき。

 そういった意味で、蝙蝠や蝶々は実際かなりの適任でしょう。蝶々の方は難しいところもあるみたいですが、それでも『人を率いる』という意味ではしっかりと纏め上げられるでしょうし。
 蝙蝠は、無欲だからこそ信頼されやすい。また、無欲であることにちょっとした疑問のようなものを覚えているようなので、進んで部下のことを理解しようとしてくれるでしょう。
 蝶々は、もろに部下の気持ちを分かってくれるでしょう。そして、自分の出来る限りをもってそれに答えてくれる。彼の出来ることといったら真庭拳法の完成で、実際後世ではちゃんと使い手がいることですし。

 その二人はいいのですが、残りの喰鮫と白鷺は、リーダーとしては手放しに見れるほど簡単じゃない。ここが重要なのですが、そんな二人でも、頭領になる素質は十分にあるということ。
 喰鮫は、その狂った平和主義は誰にも理解されないでしょうが、彼女の真摯な気持ちだけは回りに伝わります。いろいろ間違っている上に、それは独裁にも近い統率ですが、必ず彼女の命令にはみな従うでしょう。
 白鷺は、逆に誰も従うことがない。一見、統率という意味では絶対的に向いていない人物です。しかし、彼の存在が周りに与える影響は強い。『異端』というのは、排除されるべき存在であるだけではなく、考慮に入れるべき存在でもある。『異端』があるからこそ、『正統』が見えてくる。特に、『真庭忍軍』のような異端揃いの中ではその感覚が薄れるでしょうから、なおさら白鷺のような存在は必要なのではないか、と思います。


 白鷺に関しては少しばかり考えすぎかな、と思うところもありますが、他は作中でも述べてあった通りなので大丈夫かと思います。

 一人ひとりの信念や人生観。その違いをうまく差別化している。頭領になる意味は何か? 自分たちは何を求めているのか? そういった問題に対して提示された四つの例がこの本なのではないでしょうか。



 『真庭語』に関しては、文章的にはやはりすこし軽い感じがしますが、思ったより内容は深かったので面白かったです。出来ればもう一度読み返して、すこし四人の人生というものを考えてみたい名とは思いました。十代後の彼らの子孫の活躍とも照らし合わせると、なかなか面白いですし。





プロフィール

Author:西織
この欄を編集するのを完全に忘れていた男。今年の四月に新社会人という名の社畜人生に一歩を踏み出した。



性別:男
年齢:22歳
血液型:A型
趣味:読書&執筆
将来の夢:作家(前途多難)

本の感想などを見たい人は、こちらをどうぞ
『空っぽの知識(読書日記)』
http://emptyreader.blog81.fc2.com/

自作小説専門のブログ作りました。
『空っぽの知識(自作小説)』
http://emptynovel.blog83.fc2.com/

同じFC2ブログを三つも作ったことにより、他のブローカーに訪問者履歴的な意味で迷惑が……あの、本当に申し訳ございません。


何か連絡があれば、こちらにお願いします。
alred_marchen☆hotmail.co.jp
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