空っぽの知識
 かたよりまくった読書くんの日記
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刀語の十二話は終わりにてエンドで終



 刀語の十二話の感想をお送りします。
 馬鹿みたいに長いよ。







 復讐を果たせなかった者。
 目的を果たせなかった者。
 志半ばで倒れた者、思いを遂げられなかった者。
 負けた者。挫けた者。朽ちた者。
 一生懸命頑張って、他のあらゆるすべてを犠牲にしてまで踏ん張って、それでも行為が全く結果に繋がらず、努力は全く実を結ばず、理不尽に、あるいは不合理に、ただただ無様に、どうしようもなく後悔しながら死んでいった者たちの――夢と希望に満ちあふれた未来を予感させる前向きな物語は、ここに静かに幕を下ろす。








 刀語が傑作だと思う理由の一つとして、このラストの文章があります。
 アニメでは最後にナレーションされた文でもありますが、この十二ヶ月続いた物語を占めるにふさわしい言葉です。歴史とは、人である。この結末に至ることで、刀語という物語は、テーマ性を持った一段上の作品に仕上がったのだと思います。
 個々としては煮え切らない感じもありますが、十二巻かけて物語を紡いだことで、物語として完成する。そして、今回アニメの最終回ということで、二度目の終わりを迎えるのでした。




 ま、そんなわけで、月一のお楽しみも今月で終了。

 感想であります。








 いやあ、本当にすごかった。
 尺の問題で所々台詞のカットがあったりして説明不足な点もありますが、それでもアニメだけでも十分成立するだけの完成度だったと思います。かませ十一人衆との決戦の圧倒巻もさることながら、一番はやはり鑢七花VS左右田右衛門左衛門のバトルのすさまじさ。これまでの十一回すべてをしのぐほどの迫力と熱気がこもっていました。

 旅のはじめに、七花がかけられた四つの制約。
 『刀を守れ』『とがめを守れ』『自分自身を守れ(目的のため)』『七花自身を守れ(七花のため)』
 その四つがあったために、これまで真剣勝負と言っても技と技の削り合いという感じの戦いはあまりありませんでした。どの勝負も、一撃くらえば終わり、と言った真剣勝負で、今回の右衛門左衛門との戦いのように自分自身が傷ついてでも敵を倒す、という感じの戦いはなかったんですよね。だからこそ、最後の戦いの迫力はこれまでの中で段違いです。
 そもそも作画からして違う……。いや、ほんとこの最後は真面目に気合入ってたなぁ。七月の七実との戦いのとき見たいにシュパシュパッって感じの技の応酬だけかと思いきや、そうした中にもちゃんと手刀と炎刀が交差して敵を傷つける描写がされているし。描き込みがほんと半端なかった。あのラストバトルだけは劇場版かと思ったよ。そして、断罪炎刀で左目を傷つけられた後に、一瞬のすきを突いて踏み込んでから、『柳緑花紅』をたたき込んだ後の『七花八裂(改)』。柳緑花紅→鏡花水月→飛花落葉→落下狼藉→百花繚乱→錦上添花→花鳥風月のつなぎを次々に叩き込んでいくシーンは圧巻の一言。あのシーンのためだけに十二話全部見直しても損はないと思えるくらいでした。いや、ほんと月一だから作画の時間が取れたというのはあると思うけど、それでもすさまじい出来だと思うよ。

 それと、右衛門左衛門の最期がまたいいんだよなぁ! 散り際の一言については、宇練銀閣をはじめ今までもたくさんありましたが、とくにそれを重視していた右衛門左衛門の最期の言葉がこれ。
 『姫さま。あなたのために死ぬことを――お許しください』
 この時の声優さんの演技がまじでやばかった。本当に息絶える寸前で、相手に聞こえるわけもないのにそれでもせめて一言だけ。ほんとこのシーンは鳥肌ものだわ。フィクションとはいえ、やっぱり一人のキャラクターがその出番を全うして果てるシーンってのは重いよ。
 そして、その右衛門左衛門の散りざまを見て、いったん背を向けた七花が、とがめの遺髪を見つめるシーンがまたいい。この演出のおかげで、七花が否定姫に不忍の仮面を届ける心境が痛いほど伝わってきた。あれ、最初とがめの髪だって分からなかったんですが、あれだけ血だらけになりながら、とがめの白い髪の毛だけは全く汚れていないんですよ。これにはほんとうにキタ。やばいって。この演出は卑怯だ。

 そういえばとがめの話題を出し損ねていたけど、とがめの最期もきれいだった。死とともにこれまでの呪縛を暗示した白い蛇から解放される、という演出もグッジョブでしたが、今回特に、間の取り方がすさまじくうまいと思います。右衛門左衛門にしても、とがめにしても、散り際の一言を言った後のあの間。そのあととがめの亡骸をギュッと抱きしめる七花の背中が小さく感じて本当に切ない。とがめの一言だけだとそうでもなかったんですが、そのあとの間を取ってくれたおかげで、彼女の死をよく理解できたと思います。うん、このシーンは原作でも鳥肌立って涙出たから、ちゃんと再現してくれてうれしかった。
 ただ、アニメではこのシーンより右衛門左衛門との決戦開始のとがめの号令の方が効いた。原作ではエピローグに流れたとがめとの旅の回想を、ここで持ってくるとは! 十二ヶ月の旅の軌跡を、七花の目から見たとがめの様子で思い返す。そして、『いざ尋常に、はじめ!』の合図で突撃。ああ畜生、憎い演出しやがるじゃねぇか。確かにアニメで見るんならこのタイミングしかないってくらい最高の演出です。

 それと、今さらですけど全編通して七花の演技が半端なかったですね。ほんと七花の声はこの人でよかったわ。十二ヶ月通して七花と同じように成長していきたい、と細谷さんは一月に語っていたんですが、ほんとその通りになったわ。
 三月の敦賀迷彩を殺した後のあのあっけらかんとした声。七月の鑢七実が死んだ後の『殺したくなかった』発言の時の演技。そして、そこから八月、九月とどんどん人間らしくなっていくのを、見事に語りわけていたところがすさまじいです。だからこの最終回は本当に楽しみだったんですが、期待以上の演技でテンションあがりまくりでした。ヤサグレ七花の『ああ、面倒だ』を聞けるだけでもよかったのに、かませ十一人衆との戦いのときも、原作だとイメージしづらかった七花の反応が生身の感情を持って見れました。だからこそカットされた台詞なんかが残念だったりもするんですが(『あんたにゃちっともときめかねぇ』とか残念だったなぁ)、その辺は仕方がないと諦めるしかないでしょう。とりあえず、真庭ボウフラ相手にしたときの『あんたより弱いまにわにはさすがにいなかったよ』の台詞がやばかった。あの鼻で笑ったような、それでいてさびしそうな言い方。七花にとってこれまで見てきた戦いこそが、彼にとってとても大切なものだったというのがよくわかる形だったと思います。
 ああ、ほんと七花の声だけでも贅沢なアニメだわ。化物語の時もそう思ったけど、改めて声優さんってほんとすげーな。
 最後に家鳴将軍ブッ飛ばす時の『いるかそんなもん』『ちぇえりおおおおおお!!』が本当にきれいなしめだよなぁ。まあ、あの時の城崩落はほとんどビームだったけどww。ぶっちゃけ七花にとっては天下だとか四季崎の野望だとかそんなのはどうでもよくて、ただそうした『どうでもいいこと』に振り回されたとがめのことだけが気にかかっていたわけですよね。だからこその、最後のけじめ。とがめが運命に翻弄された理由の一つである、尾張幕府の象徴ともいえる将軍をブッ飛ばす。うん。やっぱり将軍は情けないくらいでかえってすがすがしかったな!


 さてさて。そんなわけでエピローグ。原作通り否定姫との二人旅に落ち着きましたけど、この時ちょこちょこ台詞のカットがあって分かりにくいところがあったなぁと思いました。うん、まあ尺の問題だから仕方ないけどさ。せめて『傷心旅行』と『とがめの命令を聞く』の二つは削ってほしくなかったかも。とくに後者は、七花が生きていく理由にもなるしなぁ。まあ、この辺は原作を読んでくれ、って感じか。
 しかし、最後の否定姫半端なく可愛いな……。不忍の仮面が不格好で余計に甲斐甲斐しく感じる。とがめも十分素直じゃないって思ってたけど、否定姫のこれは本格的なツンデレだな!
 うん、個人的には七花の書いた地図を破って丸めて『ありがとうは?』のところを声で聞きたかったりするけどそこはほんとうに重要じゃないので願望だけにとどめておきます。 




 そんなわけで、最終話はほんとうに盛り上がりました。ああ、スタッフのみなさん本当にありがとう! DVD買って還元するよ!

 ほんと、最終回に関してはアニメとして出来る全力の演出をやっていたと思います。原作だとあっけなかった右衛門左衛門との戦いなんかも、まあ銃弾の弾数の突っ込みがあるにしろ(原作だと17発が最大装填数)、バトルとしての見栄えはそうした些細なことを突き抜けるレベルでした。戦いの盛り上がりと、戦いの後の無常感。そして、キャラクターが確かに生きていたということを、動きで伝えてくれた。
 いろいろ不満な点がないわけじゃありません。真庭鳳凰と左右田右衛門左衛門の因縁とか、それぞれの刀の特性の説明とか、そういうカットもありましたが、本筋だけはずらさずにしっかりと語ってくれた。それだけでも素晴らしいです。

 うん。一年間、本当にいい作品でした! 




 最後に、これまでの感想をまとめて終わります。

 刀語の一話は面白かった
 刀語の二話は男どもがかっこいい
 刀語の三話は千刀だけに戦闘が……
 刀語の四話は最強にときめけ
 刀語の五話は七花さんがかっこいい
 刀語の六話はロリショタ熟と盛りだくさん
 刀語の七話は悪党姉ちゃん大暴れ
 刀語の八話は子供の成長とドMの輝きが素晴らしい
 刀語の九話はきらきら花舞うなにこのラブコメ
 刀語の十話は苦手でも嫌いじゃないそんな感じ
 刀語の十一話は刀集めクライマックスと驚愕のラスト


 ……思えば、一話のタイトルを適当に付けてからこの流れが確立したんだ……。
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コメント

なんか、この感想読んだらもう一回最終話を見たくなった・・・。
連載の時は毎月買っていてしかも何気に高いから嫌になりそうにもなったけど
原作の最後を読み終わって感動して。
アニメもなんだかんだで最高に面白かった!
[2010/12/12 23:13] URL | kiji_32 #- [ 編集 ]


神回でしたね。
全体的に総まとめ、って感じで今までの一年がぶわっ、と思い返されて。試合開始のところのとがめの回想なんか反則でしたよ……鳥肌でしたよ………。

一年間楽しませてくださったスタッフの皆様に感謝、感謝です。

[2010/12/13 13:14] URL | 蛍火メイ #- [ 編集 ]


>kiji_32さん
そんな風に言ってもらえると、感想書いただけでも書きがいがあります。
自分はもう、最後の七花八裂(改)の場面は何度もループして見てしまいました……。この十二ヶ月が爆発するかのような迫力でしたね。
さて、これからDVDを買い始める作業が始まる……。

>蛍火メイさん
ほんと、右衛門左衛門との戦いの前の回想は反則ですよね。『惚れてもよいか?』ではそこまでなかったのに、あの回想の所為で鳥肌ブワーで涙腺ブワーですよ。
ほんと、ホワイトフォックスのスタッフのみなさんはいい仕事してくれた……。自分の好きな作品がこんな風にアニメ化したってだけでも感無量です。さて、DVDを……。
[2010/12/13 20:14] URL | 西織 #fBhJEaUc [ 編集 ]


今更ですが凄い感想です…。
「うんうん」とうなずいた回数が何回ある事か…。

右衛門左衛門ととがめの最後、そして真庭ぼうふらの時の七花の時の演出、声優さんの全力の演技は本当に素晴らしかったです。
あそこにかんする記述の所は本当に全力のうなずきでした…w。

この感想を読んでボクの中で刀語が完全に完結した気がします。
ホント良い作品でした…。
今本気で刀語読み返したいですw。
[2010/12/18 06:41] URL | tokuP #- [ 編集 ]


アニメが完結したことで完成したように思うのは僕も同じ気持ちです。刀語はアクションでもあったので、やっぱり小説だけじゃなくて動きや音声なんかもあって初めて生きてくるシナリオでもあったなぁと思います。

ただ、ここまで来るとDVDの初回特典についているドラマCDも見逃せないというかかなり重要というか……。本編で放置された伏線の数々がちょこちょこと明かされていく様は驚くしかないです。よくこんなものを本編で語らずにいたな西尾維新……。
機会があったらぜひご視聴下さい。
[2010/12/18 11:36] URL | 西織 #fBhJEaUc [ 編集 ]

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[2015/05/12 13:33] | # [ 編集 ]


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西織

Author:西織
この欄を編集するのを完全に忘れていた男。今年の四月に新社会人という名の社畜人生に一歩を踏み出した。



性別:男
年齢:22歳
血液型:A型
趣味:読書&執筆
将来の夢:作家(前途多難)

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