| 刀語 第三話 千刀・ツルギ |
「俺は刀だからな――。とがめ以外のためには、心も身体も、動かないさ」
西尾維新が挑む時代活劇、大河ノベル第三弾! 第三話の相手は、出雲大山三途神社を束ねる巫女にして、元盗賊。そして、千刀流十二代目当主、敦賀迷彩!
千刀VS無刀!
一本で千本の刀、千刀の意味とは!? 《切った張ったの大騒ぎ、ただし貼り絵》みたいな! 水準外の漢字をそんなに使いたいか!
ってな感じではじまるお話です。 今回の見所は、何と言っても『千刀・鎩』。 千本で一本というのは一体なんなんだろう? って、発売前からずっと思っていましたよ。 まあ、それについては刀の紹介に書いておくとして。 キャラ紹介でもしますか。
●鑢七花――《主人公》 「おう、とがめ。勝ったぞ」 刀は、ただ斬るのみ。
三話目になって、ちゃんとキャラが立ってきたように感じる七花。うん。ちゃんと前回決まった決め台詞も使ってますし。 で、読んでいると、どうも西尾さんは、この刀語を通して、七花が良心の呵責にとらわれていく様子を書きたいようです。 七花は、無人島育ちで、人間といえば父親と姉しか知りません。そんな状況で、確かにまともに育つほうがおかしいでしょう。実際七花は、人間味にかけています。何のためらいもなく相手を殺すくせに、普通に同情する。 前回の宇練銀閣を倒したとき、七花は、「宇練が天涯孤独でよかったな」といったそうです。そして、こう続けます。「あいつが死んでも、誰も悲しまないんだから」っと。 島育ちで、世間知らず。そのため、倫理観や道徳観に囚われない七花。善悪の区別すら、無いそうです。考えてみたら、善や悪なんて、自分が意識しなければ分からないものですしね。 そんな彼は、今回もやってくれます。そして、倒した後のセリフが上記のセリフ。とがめに向かって、とても無邪気で爽やかで、そして誇らしげな笑みを浮かべて。 その文を読んだときに悲しい気分になったのは僕だけでしょうか? ――まあ、そんなこんなで、今回はちょっと冷たい話になりましたが、とりあえず、父親殺したのは実は七花だったとか言う伏線も張られて、いつ回収されるのかとても楽しみです。 今回の決め技は、彼の使う技のうち、最速の技。『鏡花水月』。その実態は、下半身を根が生えたかのようにがっしりと構え、その無動を反動に、引きちぎれんばかりの腰のひねりで生み出す破壊力をこめた、一の型から繰り出す一本の拳底。 …………さて、おさらいですが、七花の最終奥義、『七花八裂』は、七つの奥義全てを同時に繰り出すというものです。 現段階で分かっている奥義は、『落花狼藉』と『鏡花水月』。 踵落としと拳底。 どうやってだすんだろう?
●とがめ――《奇策士》 「七花――でかしたぞ」 感情を押し殺した、強気の言葉。
今回もほとんど役に立たなかったとがめさん。唯一役立ったと思った『初めの一本目』探しも、結局失敗に終わり、そろそろ後が無いような……。 このままじゃ、マスコットキャラクターになっちゃうよ! ……とまあ、冗談は置いておいて。 虚刀流、鑢七花という名の刀を持った時点で、彼女はやっぱり殺人者、って事なんでしょうね。たしか、『ヒトクイマジカル』で出夢くんが「ナイフで人を刺したら、悪いのはナイフか? 違うだろ?」みたいなことを言っていましたが、まさにその通り。七花はある意味では完全な刀です。倫理観も道徳観も無い彼は、まさしく刀。その刀で人を殺したとしたら、悪いのは刀ではなくやはりその使い手です。 そのことを、とがめは嫌というほど理解しています。だからこそ、上記のセリフを言うのです。 さて、そんな彼女ですが、前半部分は本気で可愛かったです。まさか、おんぶしたら身体が密着するから嫌だという理由で、お姫様抱っこを要望するとは! いや、ホント奇策ですよ。奇策も奇策。なんかベクトルが全然別の方向向いてますけど(笑) 次こそは、彼女の奇策でピンチを脱出して欲しいです!(笑)
●敦賀迷彩――《巫女》 「だってあたしは、あの子達のために戦っているんだから――」 地の文ですが、これが一番彼女をあらわしていると思います。
今回の出雲篇、西尾先生曰く「出雲といえば巫女。巫女といえば出雲。出雲には巫女しかいないはずだ!」だそうです。 まあ、そんなこんなで巫女さん登場。元盗賊の敦賀迷彩。敦賀迷彩という名前は、三途神社の神主が代々受け継ぐ名前だそうで、彼女の本名ではないとの事。でも、彼女は本名のほうは当の昔に捨ててしまったそうです。 さて彼女、千刀・鎩の所有者なのですが、その使い方が一味違います。どんな使い方をするかというと、三途神社に預けられた女たちの療養のために、刀の毒を利用するというもの。 四季崎記紀が作った変体刀には、その刀に執着してしまうという刀の毒があります。それを彼女は女たちの回復に使おうと考えたわけです。 ただ、最後のほうで彼女が言っている通り、それは結局のところ無意味なんですよね。いくら回復させるためとはいえ、その方向性が違っている時点で真の回復は望めません。でも、そのことを分かっていても、それしか手段を取れなかった迷彩は、不器用な人なんでしょうね。 そんな彼女は、神社の神主になる前、盗賊になるそれよりも前は、千刀流の使い手の娘でした。千刀流というのは、ようは奪刀術で、相手の刀や落ちている刀を最大限に利用する流派。またそれに加えてこまごまとした心理戦を持ちかけてくるので、なかなか強かな相手です。 そして、千刀・鎩との合作奥義が、『地形効果・千刀巡り』。自分の陣地内に、千刀を置きまくるというこの技は、千刀流と完全にマッチしています。も、千刀のために作られた流派といっても過言ではありません。(まあ、それが狙いだったんでしょうけど) さらに、最後には刀を相手に投げつけ、相手がそれをはじいた瞬間にはじいた刀を取ってすぐ攻撃に転じるという、『空中一刀・億文字斬り』。結局詳細自体は分かりにくいのですが、一体このネーミングセンスはどこから来るんでしょうね?
●真庭喰鮫――《鎖縛の喰鮫》 「ああ、いいですね、忍ぶことなく『名乗れる』と言うのは、いいですね、いいですね、いいですね、いいですね――」 お前は先月登場しておけ(笑)
真庭忍軍十二頭領が一人。真庭忍軍のコスチュームの一つである全身の鎖を、刀とつなげて利用するために上記の通り名がついた。 いや、この人の登場で完全に分かりましたね。真庭忍軍が刀語においてただのかませ犬であるということが! いくらなんでも一発で負けないでよ…………。 そんな彼、喰鮫に、七花はとうとうあのニックネームを言います。 「まにわにか!」 うわあ、いっちゃった、と思ったのですが、これにたいしてどういう反応を示すのか物凄く楽しみだった僕は、すぐに次のセリフへ。 「ま、まにわにですって……?」 「なんということでしょう、めちゃくちゃいかしているじゃないですか」 …………。 この世界は馬鹿ばかりだ!(笑)
●刀――千刀・鎩 千本で一本の刀。ようは、まったく少しの違いも無い同じ刀が千本あるということ。それにより、刀が折れてもすぐになじみの刀を持つことが出来る 製造方法としては、まず大本の一本を作り、それを雛形として量産して言ったと考えられる。 四季崎の刀の中では、一番普通の刀。 …………普通なことをやろうとしてこんなことをやってのける四季崎記紀に万歳。
とまあこんなところです。 さて、来月はとうとう「拙者にときめいてもらうでござる!」の錆白兵の登場です。 一体どんな奴なのでしょうか? 楽しみですね。
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