空っぽの知識
 かたよりまくった読書くんの日記
『偽物語・上』 感想②
 昨日の続き。

 後半。

 羽川翼の話。
 委員長、随分とグレたな……。
 まあただ、グレ方が彼女らしいというかなんというか。化物語の頃に比べて随分と余裕があるんだなというのは分かりました。しかし、随分ときわどい冗談言うようになったな……。
 一番すばらしかったのは、ひたぎとの関係。ちょっと、一体二人の間に何があったの!?
 ひたぎが委員長を呼ぶとき、普通は「羽川さん」なのが、焦った時は「羽川様」とか「ご主人様」……それに加えて翼の靴を毎朝自分で磨いているとカミングアウトしたり。一体委員長にどんな弱みをにぎられた、がはらさん!
 そしてノリノリなのは委員長の方も同じ。いつもどおり暴走していたひたぎを止めるために一言。「あんまり聞き分け悪いと、阿良々木君に告白しちゃうぞ」って……そりゃ確かに効果覿面だわ!(むしろ切り札)
 そんな羽川さんは、今回はファイアーシスターズのお助け係みたいな役割でした。うむ、しかし、委員長の能力がどんどんインフレ起こしている。情報収集とか、一高校生のくせに随分人脈広いんだなぁ。ってか、他の評価とかもあわせて、下手したら萩原子荻レベルじゃないのかって思いました。
 しかしそのくせ、引き際がまたあっさりしているんだよなぁ。あくまで、ずっと渦中にいることはない。その辺、もう彼女の物語はもう終わったんだなと思わされます。
 うーん、なんか報われないなぁ。撫子にしてもそうだけど、どこかで別の出会いがあることを願うばかりです。


 忍野忍について。
 ……しゃべった。
 びっくりした。マジでびっくしたー。
 なんか八歳バージョンになった所為でしゃべる能力を失っていたかと思いきや、実はただ黙っていただけという。やっぱりそれだけ阿良々木君のことを怒っていた様子。ただ、それでも話しかけてきたということは、何らかの心情の変化があったんでしょうね。
 そんな彼女、どうも忍野からいろいろと怪異について講釈を聞かされていたらしく、今回の『囲い火蜂』についての解説役をやってくれました。うーん、なるほど。忍野のいない穴をこうやって埋めるか。
 ただ、だからと言って万能というわけではなく、単純に覚えている分しか分からないので、ずっと頼りっぱなしになるのも無理みたい。まあ、最終話はフェニックスなので別にそこまで困ることはないですけど、もし忍が知らない怪異が出てきた時は困るだろうなぁ。
 あと、お約束というか何というか、忍が出てきたのはお風呂場でのことで、一緒にちゅららぎさんとお風呂に入っていたということで、そのシーンをピンポイントで妹の月火ちゃんに見られまして。
 その月火ちゃんが台所に引き返して包丁持ってきたときには盛大に笑った。
 あやうくniceboatエンドになるところだったね、暦お兄ちゃん!


 阿良々木月火の話。
 今回はとりあえずサブ役のちっちゃい妹。ファイアーシスターズ参謀担当
 しかし、語られる逸話はかなりぶっ飛んでいます。静かなるヒステリー。まあ、忍とのお風呂場でのエピソードでもそのぶっ飛び具合はよくわかりますが、他にも、あまりの剣幕に泣いていた相手が泣き止んでしまったりとか、何がどうなったか分からないけど屋上から飛び降りるはめになったとか、敵対勢力に誘拐されたりとか、そんな武勇伝が数多く。ほんと、一体何をやっているんだこの娘は。……いや、この妹たちは。そりゃあ、阿良々木君もいろいろ呆れるだろうなぁ。
 和服趣味の女の子だそうで、いつも和服を着ているそうです。和服を着るためだけに茶道部に入り、その茶道部で和服ファッションショーを開くという……。いや、用途は間違っていないと思う。倫理的には間違ってる気がするけど。
 とりあえず今回はそこまで出っ張らなかったのであんまりあれですが、次の巻は彼女が主役なのでもっと前面に出てくれるでしょう。しかし、ラストはフェニックスか……。今回の蜂に比べて随分とレベル高いなおい。


 阿良々木火憐の話。
 でっかい妹。ファイアーシスターズ実戦担当。
 いうことといえば、一発目でこれ哀川潤じゃんって思いました。好戦的なところとか、まさにそのまんまだし。ただ、ちょっと違うのは、やっぱり中学生らしい子供っぽさが強いって所かな。
 さて、今回の物語は、彼女が中心の物語です。が、なんだかあんまり目立てなかった様子。
 確かにキャラはかなり立っているんだけど、前半のレギュラーメンバーの進化がすごかったために霞んじゃった気が……。いや、それでも十分面白いやつだったんだけど。
 正義感が強くて、揉め事なんかがあったら進んで解決したがるタイプ。その辺は、やっぱり阿良々木君の妹なんだなぁと思わせられる。ただ、あんまり阿良々木君はそのことを認めたくないみたいだけど。
 今回の『偽物語』という意味は、火憐が行き逢った怪異である『囲い火蜂』と、彼女自身の二つにかかっています。『囲い火蜂』という、存在しないはずの偽物の怪異。それと、正義を語っているが、偽物の正義でしかないファイアーシスターズ。
 特に正義の感覚に関しては、西尾さんの正義観が見れた気がして興味深かった。西尾さんが書くキャラクターは、大抵正義とは程遠いひねくれてたり外道だったりする主人公ばかりだから、阿良々木君みたいな無償奉仕のキャラは珍しいんですよね。
 そんな阿良々木君も、他人が困っているのを見ると黙っていられないというのは王道の主人公の考え方そのものだけど、やっぱり傷物語での出来事がかなり強いのか、自分の行為が正義なんかではないということが分かっているみたいです。だからこそ、火憐の行動を偽物だと一蹴して、説教したりする。
 実際、火憐の語る正義ってのは、一本筋は通ってるみたいだけど、信念みたいなものが伴っていないんですよね。簡単に言うと、衛宮士郎に近い感じ。ただ、士郎の場合は人間的にちょっと壊れているから無心にその理想を追うことが出来ていたけど、火憐はその点ただ自分が正しいと思ったことをやろうとするだけで、それを貫き通すまでの強さが足りていない。正義を語るほど、強くない。だから正義の味方ごっこ。本当の意味での『本物』ではない。
 だから、今回の貝木みたいな、悪でありながら信念を持っているような相手には通用しない。
 まあ、しかしそれもまだ彼女が中学生でしかも痛い目にあったことが少ないからってのがあるんでしょうけど。これから阿良々木君並に痛々しい目にあえば絶対分かるっていうか絶対にそういう目にあるよなこのキャラは……。

 ちなみに、今回だけでも十分痛い目にあってますしね。怪異の所為で高熱が出たとか序の口。一番彼女にとってショッキングだったのは、やっぱりアレでしょ。
 ファーストキスを兄貴に奪われる。
 いや、これを越えるショックはねぇわ。ってか怪異を移す方法を忍に聞いた段階で、絶対にそれだと思っていたので、修羅羅木さんが直球で言った時は爆笑しました。いや、いくら兄妹だからノーカウントって言っても、それは鬼畜を越えてるだろww
 ファーストキスは彼氏にやるつもりだったのにーと泣き叫ぶ火憐に純粋に同情します。いや、そうぞうしたら無茶苦茶可愛いけどさ。
 そして、絶対にその恨みが入っているであろう、鬼畜木さんをフルボッコタイム。得意の空手とかいいつつ、明らかに空手ではない技が続出。ってか、強すぎて笑ったわ。もしかしてこのシリーズのなかで一番強いんじゃないか?(なんか肉弾戦だけならあの吸血鬼ハンターたちも倒せそうな気が……)
 つーか西尾さん、戦闘描写がなんかうまくなってる? それともただのフルボッコで一方的だったから読みやすかったのかな。とにかく疾走感のある文章で、バララ木さんがどんどん削られていくのが目に映るようでした。
 ただ、そんな風にボロボロになりながらも決して倒れようとしない阿良々木暦。そして、最後に正義について語って、「あとはまかせろ」っていうところとか、マジで漢でした。
 うん、あれは確かに妹でも惚れるわ。


 貝木泥舟の話。
 なんていうか、ある意味で最強のキャラじゃないのかと思いました。
 自分が偽物だということを知っている。その上で、偽物であることを誇り、偽物である事を利用している。こういう人間が確かに一番強いですよね。
 なんだか、戯言遣いの慣れはてって感じです。いーちゃんは、まあまだ19歳だったということと、あと周りの環境的にちょっとひねた詭弁を扱う少年、って感じでしたけど、もしあれが開き直って人を騙すことに生涯をかけたら、貝木のようになるんじゃないかなぁ。
 てか、実際彼、負けてないんですよね。阿良々木君とひたぎの二人に詰め寄られてあっさり引きはしたけど、それは単に降参しただけで負けたわけではない。試合には負けたけど勝負には負けていないって感じ。というか、彼の場合勝つ必要というのがないって言うのが強いよなぁ。目的のためには手段を選ばない、といいますが、金儲けをする、という目的のために、よりその目的を果たしやすい方法を選ぶ。つまり、金儲けがしにくくなったこの町でこれ以上やるよりも、素直に従って別の町に行って詐欺ッたほうが早いとすぐに考えたわけですね。
 こういう人間がやっぱり生き残るんだよなぁ。プライドがない、っていうのは情けないことのように思われがちだけど、信念を持っている上でプライドを捨てているって言うのは一つの強さでしかない。その場しのぎの謝罪や耐えられない恥辱も、次に繋がると思えて耐えられるのならすごいです。
 そういう意味で、この貝木という男は最強だと思います。実際、こういうのは敵に回すと攻略したり御したりするのがかなり難しいんですよね。もしその場をやり過ごしたとしても完全に攻略したと限らないのですから。
 っていうか、僕こういうキャラが何気に好きなんですよね。あんまりにも拍子抜けするものだから、物足りないという人もいっぱいいると思いますけど、こういう身の引きどころをわきまえているところが、『本物』という感じがするのです。ただ、貝木の場合は自身を『偽物』と認めているという意味での『本物』ですけど。
 人間としては最低の男ですけど、敵としては最悪の人間だと思いました。


 戦場ヶ原ひたぎの話。
 今回の物語、中心は阿良々木火憐のはずなんですけど、なんだかいつの間にかひたぎの成長物語になっていました。
 っていうか、長年苦しめられてきたトラウマに、一区切りをつける物語。
 ああ、やっぱり化物語シリーズの正ヒロインはひたぎなんだなぁと思い知らされました。
 さてさて、彼女の場合、真面目な話が強すぎて、逆にギャグパートは酷すぎて、もうなんだかコメントに困ります。
 とりあえず、拉致監禁そして開放そのあと五時間落ち込んで次にえんぴつを削り始めるという、脈絡ないけど怖い彼女の行動。えんぴつ百本は、確かに戦慄するわ。
 委員長との間に何があったのかよくわかりませんが、結構頭が上がらない状態になっている模様。まあ、ひたぎは一応、翼の気持ちを知っていた上で阿良々木君に先制攻撃を仕掛けていたんだから、負い目に近いものは持っていたんだろうなぁ。
 とりあえず、これからもいい主従関係は続きそうです。
 あと、一応ひたぎはツンデレキャラとして設定されていますが、あんまりにもつんつんしすぎてて、むしろ『ツン』の部分に『デレ』まで入っているという最強の『ツンドラ』なわけですが、今回はツンデレという名称の面目躍如なのか、かなりつぼに入ることをやってくれました。
 委員長に怒られた後、悔しそうながらもごめんなさいとたどたどしく伝える姿とか、貝木との話し合いの後で、「今夜は優しくしなさい」発言など、なんだかやっと硬くて高いツンドラが溶けてきた感じがしました。
 個人的に、「やば、超絶格好いい」って呟いてしまうところは可愛い感じがします。


 阿良々木暦の話。
 まず、妹のことをちゃんづけで呼んでしまってあたふたする暦くんは可愛い。
 そしてできる限りちゃんづけで呼ばないために、でっかいとちっさいという区別で呼びわけたりするところとかもう、お前どんだけ可愛いんだよって感じですよ。
 さて。とりあえず今回彼について語ることは、これまでの間で結構語りつくしてしまった感があるのですが。
 やっぱり阿良々木君の正義観は良かったなぁ。傷物語での傷に痛み、化物語での経験を経て、一気に大人になってしまった感じがするんですけど。
 妹たちの正義を偽物というのは、自分のやっていることも偽物だと自覚しているから。そして、偽物でもいいからそれを貫き通そうという思いがあるから。火憐にフルボッコにされながら、それでも倒れずに彼女に諭す姿はかっこよすぎです。

 まあ、かっこよさが増しただけでなく、変態度も増しているんですけど。
 ……いやね。さすがの僕も、眼球舐めるってのはどうかと思うんだ。下手しないでも普通に失明するでしょそれ……。胸を揉ませてくれって頼んでいたじだいが懐かしいよ。アンタは一体どこに行くんだよ。
 ただ、その反面妹には異様に厳しいことも発覚。っていうか、西尾さんは妹にたいして変な幻想を抱いていないのか、表現が無駄にリアルだなぁ。僕は妹がいないんで分からないんですが、やっぱり普通の対応はこんな感じなんだろうなぁ。異性として意識なんてほとんどしないみたい。(まあ、さすがにキスとかその辺は阿良々木君のほうが常軌を逸していると思いますけど)
 妹のファーストキス奪っといて、ザマアミロ、反省しろってのは、確かにその通りなんだけど、忍の言うとおり鬼畜ですわ。(笑えたからいいけど)
 さて。次の最終巻で、はたして月火のファーストキスは奪われるのか!?(これは壮大な前フリと考えていいんですよね、西尾さん!)



 まあ、そんなこんなで、大体こんな感じかな。
 うん、とりあえず、全体的な感想としては、そうとうアニメ化がうれしかったんだろうなぁ西尾さん。もうテンション高すぎです。
 あと、全編に通して、「別にアニメ化したから書かされたわけじゃないからね!」って言ってる雰囲気が出ているのがまた……。まあ、この出来を見ると確かにその通りみたいですけど。

 さて、最終巻は三月。また随分と期間が開きますが、おそらくアニメの放送とあわせるみたいですね。
 その頃には僕の受験が終わっていますが……果たしてうまくいっているのやら。上手く言っていることを祈りつつ、これから勉強します。

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コメント
西尾センセー最高ですよね
本屋で買って早速家で読んだとき、ってか詠んでる最中、ずっと
笑い悶えて
いましたね・・・。
もう本当に吹きました。
特に火憐のファーストキスシーン。
あれには皆さんビックリして吹いているでしょうねぇ。
[2008/09/10 22:14] URL | 零虚無華焔月 #lf48bUAc [ 編集 ]


前半は家で寝る前に読んでいて、特に撫子のターンで悶え苦しみました。
後半は、冒険をして学校で読んで、見事おかしな人の称号をいただきました。でもそれくらい面白かったんだい!

しかし、妹としてはショックなんてレベルじゃないですよね、ファーストキスが兄貴ってのは……。
[2008/09/10 22:48] URL | 西織白夜 #fBhJEaUc [ 編集 ]


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西織

Author:西織
この欄を編集するのを完全に忘れていた男。今年の四月に新社会人という名の社畜人生に一歩を踏み出した。



性別:男
年齢:22歳
血液型:A型
趣味:読書&執筆
将来の夢:作家(前途多難)

本の感想などを見たい人は、こちらをどうぞ
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自作小説専門のブログ作りました。
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