空っぽの知識
 かたよりまくった読書くんの日記
CROSS✝CHANNEL 感想





 CROSS✝CHANNELの全ストーリー終了しました。





 いやあ、素晴らしかったです。前評判通り、こりゃ傑作だと思いました。


 人は一人では生きていけない。誰かとのつながりが必要となる。人と人が触れ合うということ。芽生える思いやいさかい。そうした中で、どうやって生きていくかということに、正面から挑まれていたように思います。


 ってかですね、人間関係の問題で、僕が書きたいと思っていた要素をこれでもかってくらいつぎ込んで、しかもかなりの完成度で書かれているんで、衝撃と尊敬がないまぜですよ。あー、もう。こんな作品がまだまだあるから、世の中捨てたもんじゃねぇンだよ。


 個人的には、今までやってきたノベゲーの中でG線、Fateに次いで三位くらいに食い込みます。テーマ性と言う意味では断トツ一位ですが。あー、もう。最後の抒情感と言うかやりきれなさがまたいいんだよなチクショウ。





 とりあえず、つづきから感想でも。










 どんなふうに感想やろうかなぁと思ったけど、まあ各キャラごとにやった方が分かりやすいっちゃ分かりやすいですよね。


 というわけで、自分がやったときの送還順に。



○佐倉霧

 作中一番のお気に入り。
 最初はまああれですから好感度なんてないに等しかったですけど、まずループ中にあったエピソードのラストで、太一が豊についてラジオで話すシーンで泣きだしたのを見て完全に落ちました。もう、この子マジで幸せになってくれ……。
 作中では、太一に次いで問題を起こす人間ですけどねー。けど、それも彼女自身の自己防衛だって考えると、どうしても仕方ないなぁと思ってしまう。一人でなんとかしようと肩意地はってがんばるけど、最終的にはそれで自分も傷ついちゃうような子だからなぁ。
 太一から豊の件の真相を聞いた後の態度なんかを考えると、本当にこの子は被害者だなと思う。もちろん太一に対しては加害者ではあるけれど、それだって太一にも責任はあるし。

 一番きつかったのは、固有美希ルートでの霧。あれマジ悲惨やろ……。全部分かった後に、息が絶える寸前で「ごめんなさい」っていうんですよ、この子。ずっと憎んでて、憎むことで精神を保っていた子が、ちゃんと明確に無実が分かったら謝れるんですよ。ホント、弱いけれど強くあろう、っていう生き方マジで惚れる。最後の太一の優しさがしみますよ……。

 だからこそ、送還イベントはかなり良かったです。彼女を一番にしたのは偶然ではあったんですけど、今考えるとこの順番でよかったなぁと思う。ずっと霧のために行動する太一がすごく必死で、その姿に戸惑いながらも不信感から憎むのをやめられないで、それでも最後に豊の真相を聞かされたら、ふっと力が抜けて……。この子が泣くシーンは本当に積み重なったものを全部吐き出す涙なので、もう涙腺緩みっぱなしですよ。
 あー。でも送還した直後の絶叫はつらかったなぁ。太一のこと全部許して、これからって時に唐突に別れが来るんだもん。そりゃあああなるわ。

 だから、エピローグで群青から出ることができるって話があったときはすごくうれしかったです。ちゃんと一人で克服できたんだな、って思って。それも、ずっとつらい思いをしてきた、と言っていた外の学校に自分から行くって言ったくらいですからね。これからも彼女ならちゃんとがんばれるでしょう。



○山辺美希

 霧に続く形で二番目は美希。
 こっちはなぁ。何といいますか、固有美希ルートが衝撃的過ぎて……。
 確かに伏線らしきものはいっぱい張られているんですよね。太一の攻撃に反応するスピードとか、胸が育っているとか、妙に落ち着きはらっているとか。
 しかし、分かった瞬間は「この娘……」って感じでしたけど、全部終わった後だと、結局彼女が直接手を出しているのは霧だけなんだよなーと思うとやっぱちょっと切ないといいますか。まあ、霧ちん殺している時点で同情する余地ないとも言えますけど、でも長い間ループしてその中を自分の意思保ち続けて生きていったら、そういう風に正常に狂っても仕方ないかもなぁと思います。
 全部分かった上で三人で山の上から夕陽を眺めるイベントを思い出すと、ほんとやばい。彼女はループしている間も霧や太一と一緒にいることができたから一人ではなかったけれど、それでもやっぱり孤独だったんだなぁと。孤独のつらさ。やはり自分は一人なのだというどうしようもなさ。気が狂うってのはよくわかる。いくら強い自己愛があったとしても、精神的には喜怒哀楽のある当たり前の人間なのだから、やっぱり誰かとつながらないと居られなかったんだろうなぁ。
 だから、固有美希が最後に太一と初期化されることを選ぶシーンは鳥肌が立ちました。こういう決意に弱いんですよ、僕。彼女もいろいろ考えて、一人の『自分』を保つよりも、誰かとつながった『自分』を優先した。それ自体は結局は自己愛によるものかもしれませんけど、太一との関係の方に強い意味を抱いたってことが成長のように思います。

 そして、送還イベント。
 初期化されてリセットされた美希の弱さが……。しかも、美希を送還するためには最初に霧を送還しとかなきゃいけないですからね。結局美希の場合は一人でスタートという……。残酷ですけど、そんな中で太一が必死に美希の精神状態を気にしているのが見ていて切なかったです。
 送還時に、太一やろうとしていることを気付かなかったのに、予感だけで嫌だという言葉が、耳を離れません。太一にとっても、その言葉はちょっとつらかっただろうなぁ。最後に、『お前はいい女になる』と伝えた太一の思いが何というやら。確かにこの娘は、ちゃんと順当に成長すればいい女になると思うわ。

 エピローグについては、霧が群青を出ることにぶつぶつ言いながらも、最終的に『お祝いしなきゃね』って言うところが印象的です。自分にとって大切な者の門出を素直に喜べる、ってことは、ちゃんと他人を思いやれる子になったってことですよ。あーもう、こういう成長が見られるだけでもむねがしめつけられるー!


○桐原冬子

 実を言うと、一番初めに登場した瞬間にかなり気に入ったキャラ。
 けど、実際現実でいたら一番嫌いなタイプなんですよね。この辺太一にすごく共感するんですが、孤高でいるときの彼女はかなり見ていて美しいんですが、依存状態になったら生々しすぎて苦しい。嫌悪感、とまではいきませんが、重いんですよ。それこそが彼女の群青色何でしょうけど、べったりとあれほど信頼されて依存されたら、依存された方が壊れてしまいます。
 最初は彼女に近づくための選択肢ばっかり選んでいたために冬子とのラブラブなシーンばっか見せられたんですが、もう心許した瞬間にあのドロった感じがやばい。そりゃあ、ゲームでキャラクターとして見ていると最初は可愛く思うかもしれないけれど、現実で考えたらあの反転性は恐怖の対象ですよ。ってか、依存関係っていうのは、共依存でない限り、相方に多大なストレスがきますからね……(最初の太一は世界が滅亡してもうどうでもよくなってたからむしろ共依存を望んでいたみたいだけど)

 そんな姿を見せられた後だったので、他のルートでの冬子の決断には鳥肌が立ちました。誰かに支えてもらいたいって願っていた子が、たった一人で、孤独に死ぬことを選ぶ。もちろん、彼女はそうするしかなかったんでしょうけれど、それでも孤高を貫き切った姿に、太一の感想と同じように美しさと気高さを感じました。

 そして、送還イベント。
 こっちでも冬子といちゃいちゃするんかなー、とか思ってたんですけど、ここは太一偉い。そうすると冬子が駄目になるって分かっているからか、ちゃんと一定の線引いているというね。けど、それ以上踏み込めないところが、太一の弱さと言うか、臆病さなんだよな。
 本当は、もうちょっと踏み込んで、『自分から誰かに話しかけろ』なりなんなり言うべきだったんじゃないかなぁと思います。冬子は完全に受動的で、構ってもらいたいと思う反面自分から何かしようとはしませんから。けれど、それを自分が言っていいのか、というわだかまりも太一の中にあったんだろうと思うと、最後まで言えなかったのはかなりリアリティがある様にも思う。
 別れの瞬間の、「今度は捨てるんじゃないからな」っていう太一の心情がつらい。なんだかんだ言っても、冬子に対しては終始罪悪感で行動していたからなぁ。

 エピローグで特出するところは、彼女が群青の制服着てたことですよ。
 それ以外はどうしていいかわからないで呆然としている様子でしたけど、それまで制服を着るということを拒んでいた彼女のことを考えると、ある意味では自分の状態を認めたという意味で一歩前進なんじゃないかと思います。もちろん、他の登場人物に比べて一番状況は悪いですが、ここから彼女ががんばっていけるか、思いをはせるだけです。


○桜庭浩

 作中唯一の良心。
 男が良心か……とか思いながらも、実際コイツだけは安定してて安心できるんだよなぁ。まあ、そもそもわだかまりも悩みもない奴だし。
 ただ、その分最後の送還イベントのところで、『親友』ってことをサラっと言ってのけたところはもう感動ものですよ。あーちくしょう。何考えてるのかよくわかんない奴がこういうところで臭いこと言うとじんとくるじゃんかよー。一番存在感なかったくせに!


○宮澄見里

 はいきましたよ、メガネ委員長属性。
 最初はいい感じのキャラクターだなぁと思っていたんですけど、途中からなんか違和感と言いますか、どうにも好きになれないところがあったんですが、その理由は彼女があまりにも自分の気持ちを外に出さないから不気味だったんですよね。
 他のキャラクターの場合も、何かと隠し事があったり肩意地張ったりしているところはありますけど、みみ先輩の場合はその辺が完全に隠されているんですよ。なんか感情がないみたいに。その理由は後で分かるんですが。
 友貴とのいさかいの件なんかもあって、まったく謎が多すぎたんで最後に回したんですが、まあ正解だったかなぁ。
 規則に縛られるっていうのは、ある意味では日本人の一番典型的な形じゃないかなぁと思ったりもします。規則っているのは、そのままイコールで周囲からの視線と見ることもできますし。しっかりしなければいけない、という強迫観念と、何か失敗をしたら罰をいけないといけないという強迫観念に常に付きまとわれるっていうのは、それだけで精神的負担が大きいと思います。
 だから彼女は次第に自分の感情を押し殺して行ったんでしょうね。周囲の和と規律を重んじて、自分勝手を禁じる。結果的に泥沼のように友貴との仲は悪くなるわけですが……。

 送還イベント時、ギリギリまで解決策が見えない中で、彼女の家に行って太一が呼びかけるシーン。あそこで派手ではないですが、幽かに自分の感情を表現したところが、印象に残ります。

 エピローグで、友貴と和解したようでよかったですが、しかしこの人の場合、状態がよくなってんのか変わってないのかわからないんだよな……。感情の起伏がありそうでないっていうのは、ちょっとキャラクターとして珍しい感じがします。ただ、よっぽどのことがない限りは、彼女ならば大丈夫だろうとは思いますが。


○島友貴

 うーん、みみ先輩のところで結構語っちゃったから、言うことあまりないんだけど。
 とりあえず、姉への恨み以外では本当に普通の男だったなぁと。恨み自体も平凡だったし。ただ、平凡だからこそ群青の他の生徒の苦しみが分からない、っていうのはある意味つらいんじゃないかと思う。価値観がまるで違うなかで、『普通』を保つのってなかなか難しいからなぁ。
 けれど、そんな中で過ごしたからか、対人関係においては強さがある様にも思います。とくに太一との過去話で、本気の喧嘩になったときに、恨みごとを言わなかったところとか。怒りを呑み込めるっていうのはそれだけで強さですからね。ただ、その分孤独になったときの弱さがあるようで、自分も部活をすることで逃避していたわけですが。

 しかし、送還はあっけなかったな……。まあ仕方ないとは言えるけど。



○支倉曜子

 まー、印象は良くなかったですね、ぶっちゃけ。
 冬子とは違う感じですが、こっちも依存がひどいです。何より、自分を持っていないってところが違和感というか、もどかしさがあるといいますか。太一の言うことには絶対服従っていうのは、都合がいいようでひどく気持ちが悪い。
 っていうか、この人は強制的に最後の送還になったわけですが、最後にこいつ残して大丈夫なん?とか思っていたら、案の定やられてやんの……。どうするんだろうと思って見ていたら、最後に驚きの事実が明かされたりしましたが。
 それまでの太一の態度がどうして邪険なんだろうとは思っていましたけど、こりゃ納得だわなー。もし順当に行けば、太一と曜子で共依存の関係を作れたんだろうけどそもそも曜子の方が最初に拒絶しているわけで。もちろんそれは彼女自身の精神的弱さからだったから、それを悔やんでいるからこそここまで自分を鍛えてきたんでしょうけど、やっぱり一度壊れたものは元に戻らない。一度拒んだのだから、依存関係に持ち込むのはまずかったわけです。
 というか、絶対服従というのが悪いんだよなぁ。太一としては、やっぱり孤高の君とか読んでいるくらい、凛として自分で立っている曜子に惚れたわけで、こうしてずっと付きまとって構ってちゃんやっている曜子は目ざわりでしかたなかったんでしょう。

 送還イベントの後で、「失恋って痛いんだ」と曜子がつぶやいた瞬間が一番きましたね。ある意味、この瞬間初めて曜子は太一のことじゃなくて自分のことを考えたわけでして。彼女はもっと、自分のことを考えるべきだったんでしょう。

 エピローグで、どう生きていいかわからないながらも生き続けている曜子は、ある意味では太一と同じような生き方しているんですよね。彼女の場合も、それまで自分が生きる理由を他人に求めていたから、いきなり自分のために生きるってのは無理だろうなぁ。けど、それでも前に進んでいるのだから、なんとかなればいいなとはおもう。



○七香

 衝撃の事実ですよ。
 奥さまは女子高生でしたよ。

 いや、それは問題ではない……。
 しっかし、彼女はいったい何なんだ、とか思っていたら、突然母親とか言われてビビりました。しかし、そう考えるとところどころの包容力と言うか終始味方でいるという態度は、納得できるものがある。太一を抱きしめるシーンがやばいよなぁ。
 そして、太一に悪影響を及ぼした曜子を嫌っている様子とかww。うーん、こいつ、基本ギャグキャラだからところどころに出てくる話がかなり面白いんだよなー。とくに一番初めに登場した時のお父さんのエピソードは爆笑したよ。

 まあ、謎も多いキャラだけどね。結局彼女はなんだったんだろう。

 というか、この話自体、エンディング迎えた後もまだなぞだらけなんですよね。その辺の考察をこれから見るのも楽しいと思っていますが。



○黒須太一

 主人公を忘れるところだった。

 というわけで、本編の主人公。まともそうでその実大きな爆弾を抱えているというね。
 でも、暴走しているとき以外は心情なんかもわかりやすくて、かなり感情移入しやすかったです。というか、つらすぎる。全員揃ってのハッピーエンドを選ぶために奔走しているところなんか、やばいくらい精神的に来るわ。どんどん祠の中のノートが積み重なって、結局は祠の中いっぱいになるまで成功しなくて。その記憶はなくとも、そのノートに込められた思いを感じて押しつぶされそうになる太一を見てると、もうなんとかしてやりたくなるというのに。
 けれど、太一は一人でがんばることを決意する。それこそ、曜子くらいは残して心の支えにしてもいいのに、それは曜子のためにも自分にためにもならないってことでけじめをしっかりつけるところが。こういうところは、自分の弱さを知っているからこその強さだなぁと思います。

 最終的に全員返した後の孤独が、もうやばいのなんの。どんどん気がくるっていく様子の迫力がやばい。ほんと、お前は一人でがんばっちゃって……。もう休んでいいんだよ、って言ってやりたくなる。
 けど、もし死んだらそこでまたループで、何も知らない太一が何も知らないまま孤独なんだよなぁ。それもまた切ない。安易な終わりがないところが彼にとっての罰なんだろうけれど、それにしても切なすぎる。
 そんな中で、たった一瞬の交差を願ってラジオ放送を続けるところが……。くそ、もう何度胸を締め付けられれば気が済むんだぁ。

 ラストで、黒須ちゃん✝寝るというタイトル通り、うたたねして、そこを仲間たちが囲んでいるというエピソードがどういうことをあらわしているかはわかりませんが、こういう安らかな寝顔を見せてくれるだけでも救いだよ……。






 うん、まあ主要な話はこんなところですかいね。


 しかし、本当に自分が書きたいと思っていた人間関係の問題をすげー完成度で書ききっているからなぁ。くそぅ。面白かったけどかなり悔しい。けど、やっぱりこういうライターがいるってことは、励みにもなります。


 いやあ、面白かった!!

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西織

Author:西織
この欄を編集するのを完全に忘れていた男。今年の四月に新社会人という名の社畜人生に一歩を踏み出した。



性別:男
年齢:22歳
血液型:A型
趣味:読書&執筆
将来の夢:作家(前途多難)

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自作小説専門のブログ作りました。
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